月面に地球内部と似た岩石 探査機SLIM撮影 会津大など解析、月誕生の経緯示す?(24年5月28日 日本経済新聞電子版)
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(1)会津大学などは、月面着陸した無人探査機「SLIM(スリム)」が撮影した岩石の画像を解析し、「カンラン石」の塊を見つけた。
カンラン石は地球を構成する岩石でもあり、地球のものと組成が似ていれば、月が地球と他天体の衝突でできたとする学説を補強する可能性がある。
会津大の大竹真紀子教授らによる成果で、27日に千葉市で開かれた日本地球惑星科学連合の大会で発表された。
(2)スリムは着陸後、搭載された特殊なカメラを使って計10個の岩石を観測。
このカメラで撮影した岩石の画像を分析することで成分などを特定できる。
解析を進めたところ、「ダルメシアン」と名付けた岩石に数センチメートルのカンラン石の塊が含まれていることが分かった。
(3)カンラン石は、地球内部の「マントル」の大多数を構成する岩石として知られる。
今回見つかったカンラン石の塊が月の内部由来であれば、地球に大きな天体が衝突して月ができたとする「ジャイアント・インパクト説」の裏付けにつながる可能性がある。
(4)同説によると月は、天体の衝突で飛び散った地球内部の岩石などが集まってできた。そのため、月内部のマントルも、地球内部のマントルと似た組成になると考えられる。
(5)月の表面には、隕石(いんせき)が衝突してクレーターができた際、地下から出てきたマントル由来の岩石が表出したとみられる場所がある。
スリムはこうした場所を目指し、目標地点からの誤差を100メートル以内にする「ピンポイント着陸」に成功した。
大竹教授は「(カンラン石の集合体が発見されたことは)岩石が地下深いところからもたらされたことを示唆している」と説明した。
観測した岩石の詳しい組成の解析を進めるなどして、今後、研究成果を論文にまとめる。