日中韓首脳会談、19年以来の開催へ－日中・日韓が２国間会談（24年5月27日 ブルームバーグ日本語電子版無料版）
記事（Soo-Hyang Choi、野原良明）
（１）要点
- 日韓首脳、シャトル外交継続と水素・アンモニア協力加速で一致
- 岸田首相、中国の日本周辺での軍事活動活発化に深刻な懸念表明
（２）日本と中国、韓国は2019年以来となる３カ国首脳会談を韓国で開く。
ソウルに到着した岸田文雄首相は26日、３カ国首脳会談に先立ち、同国の尹錫悦大統領、中国の李強首相と個別に会談した。
（３）日韓首脳会談
首脳間のシャトル外交継続や、北朝鮮への対応で「日韓、日韓米で一層に連携していく」ことで一致したと岸田首相が会談終了後、記者団に語った。
経済面でも協力が強化されていることを歓迎し、水素やアンモニアなどエネルギー面での協力も加速するという。
（４）日中首脳会談
岸田首相は、中国による日本周辺での軍事活動の活発化について「深刻な懸念」を改めて表明したほか、台湾についても最近の軍事情勢を含む動向を注視していると伝えたという。
また、東京電力福島第１原子力発電所の処理水海洋放出に中国が反発している問題については事務レベルで協議を加速させていくことで一致。岸田首相は中国による日本産食品の輸入規制の即時撤廃を改めて求めた。李首相は、日本に福島第１原発からの「核汚染水」に対する責任と義務を真摯（しんし）に果たすよう求めたと国営新華社通信は報じた。
（５）尹大統領と李首相も個別に会談
中国は韓国に対し、安定的なサプライチェーン（供給網）の維持を求めた。新華社によると、李首相はサムスン電子を含む韓国企業の対中投資拡大を歓迎すると語ったという。
（６）同日に３首脳は夕食会を行った。正式な３カ国首脳会談は27日に開催される。
日中韓首脳会談は新型コロナウイルス感染症のパンデミック（世界的大流行）や政治的な問題で、５年近く開催が見送られていた。
日中韓は世界の国内総生産（ＧＤＰ）の約４分の１を占めている。
（７）尹大統領が約２年前に就任して以降、韓国は数年にわたり緊張関係にあった日本との関係を改善。両国は共通の同盟国である米国との安保協力を強化する一方、バイデン米政権は先端半導体やこうした半導体製造で必要となる最新装置へのアクセスを中国に認めない取り組みに加わるよう働きかけている。
（８）「中国は米による先端半導体製造装置の輸出制限と日韓を遮断させる」
今回の首脳会談は３カ国全てにリスクと利益をもたらすが、中国にとって利害が大きい。中国は日本と韓国に対し、先端半導体製造装置の輸出制限をさらに強化する米主導の取り組みに加わらないよう促すとみられる。
日本は中国への販売をさらに抑制しようとする米国の要請に難色を示している。
また、バイデン政権は日本とオランダを含める合意に韓国も加えようとしている。
リンク 対中半導体規制の強化、日蘭が米の要請に難色－背後に米大統領選も
（９）
韓国の当局者によれば、日中韓首脳会談では、
持続可能な開発や
人的交流、
経済・貿易
など六つの協力分野が取り上げられる。
日韓両国は北朝鮮の核問題を巡り、中国に経済的影響力を行使するよう協力を求めている。
日韓は台湾海峡情勢についても懸念を示している。
リンク 台湾周辺での軍事演習は「挑発行為」－米政府が中国に自制求める
原題：China Urges South Korea to Maintain Stable, Smooth Supply Chains、China, Japan Leaders Head to Seoul for First Summit Since 2019（抜粋）
(日韓、日中首脳会談に関する岸田首相の発言などを追加し更新します)