岸田首相実弟の会社はインドネシア人就労支援企業 「李下に冠を正さず」忘れずに 有本香(24年5月18日 産経新聞オンライン無料版)

以読制毒

 

記事

 

(1)「バイデン発言 日本が問題を抱えているのは彼らが外国人嫌いで移民を望んでいないから」

衆院東京15区での補欠選挙(4月28日投開票)の残務に追われていた4日、とんでもない発言の報が聞こえてきた。ジョー・バイデン米大統領の「日本人は外国人嫌い」発言である。発言の詳細は、以下の通りだ。

「われわれ(米国)の経済が成長している理由の1つは、移民を受け入れているからだ」「(中国、インド、ロシアと並べて)なぜ日本は問題を抱えているのか。それは彼らが外国人嫌いで移民を望んでいないからだ」

事実誤認も甚だしい「おバカ」発言であり、日本と日本人への侮蔑も含まれている。

この発言のわずか半月ほど前には、岸田文雄首相が国賓訪米して「フミオ&ジョー」の仲良しアピールをしていたというのに、一体、この無礼はどうしたものか。

 

(2)「移民を受け入れれば経済成長するという統計データはない」

さすがに、おとなしい日本政府も「日本の政策に対する正確な理解に基づかない発言があったことは残念だ」と申し入れたという。

しかし、こんな〝申し入れ〟では、向こうは蚊に刺されたほどにも感じなかろう。

今もし、石原慎太郎元都知事あたりがご健在なら、このふざけた「バイデン発言」を一喝したに違いない。だが、現在の政界には、日本の名誉のために「言うべきことをズバリ言う」政治家が皆無だ。

そもそも、バイデン氏の言う「移民を受け入れれば経済成長する」という珍説の根拠はどこにもない。

元内閣参事官で数量政策学者の高橋洋一氏が、筆者主宰のネット番組「ニュース生放送 あさ8時!」で明かしたところによれば、国連のデータから、各国の移民人口比と経済成長をプロットして(=グラフにデータを打点すること)も経済成長を示す右肩上がりの線は描けないという。

 

(3)「日本人にも「外国人労働者や移民を受け入れないと経済がしぼむ」という人がいる」

つまり、バイデン氏の言う「移民を受け入れれば経済成長する」というのはデタラメなのだ。

しかし、日本にもこれに似たことをシタリ顔でのたまう御仁が少なくない。いわく、「日本は人口減少時代に入ったのだから、外国人労働者や移民を受け入れないと経済がしぼむ」。

 

(4)「異文化との共生は軋轢を生み、当地の文化や秩序、治安が壊されていく。日本も予兆がある」

このウソにだまされてはいけない。移民を受け入れ続けた米欧で今何が起きているかを見れば、そのリスクこそ明らかだ。目先の労働力不足は補えたとしても、福祉などの社会的コストは増える。「異文化との共生」は軋轢(あつれき)を生み、次第に当地の文化や秩序、治安が壊されていく。その良くない予兆は、日本の各地にすでに見られる。

 

(5)「東京15区では日本保守党以外は「移民拡大」「多文化共生」路線で一致してた」

だが、こうした「移民拡大への危機意識」は日本政界に極めて薄い。

先の衆院東京15区補選でも「移民拡大の危険性」を強く訴えたのは、私たち日本保守党ぐらいで、他は与野党とも「移民拡大」、多文化強制もとい「多文化共生」路線で一致していた。

 

(6)「岸田首相の実弟はインドネシア人の就労斡旋業者」

岸田文雄政権が外国人労働者や移民拡大に積極的な理由として、財界の「労働力不足解消への要請」に加え、ネット上で「岸田首相の親族のビジネス絡み」という話が広まっている。

ネット検索すると、ある事実に容易にいき当たった。岸田首相の実弟が代表取締役を務める企業のサイトには、次のように記されている。

「JAPAN+INDONESIA」「共生で夢をかなえる」「『特定技能制度 外国人採用』を通じて、インドネシアと日本の懸け橋に」

特定技能制度を活用したインドネシア人の国内(日本)就労を支援する企業であり、業務内容には他に「旅行代理店―東南アジア」「中東からの訪日旅行を企画・運営」と書かれている。ちなみに、インドネシア人の観光旅行者は条件付きだが、ノービザで日本に入国できる。

 

(7)「政府が強力に旗を振る「技能実習生」と「インバウンド」の両方で首相の近親者がビジネスをしている」

夕刊フジの取材に対し、岸田首相の実弟の会社は「(当社のような)零細企業が国の方針を動かすことはできない。零細企業のために、国がかじを切るということもない」と語ったという。

しかし、首相の近親者が、政府が強力に旗を振る「技能実習生」と「インバウンド」の両方でビジネスをしていると聞けば、いぶかる国民も少なくない。

ネット上には、岸田家にとって、バイデン氏のトンデモ発言はむしろ「ありがたい呼び水」だったのかという、意地悪い意見すらある。違法でないことは百も承知だが、とまれ、「李下に冠を正さず」の教えはお忘れなく、と申し上げておく。(ジャーナリスト・有本香)