イスラエルがラファ侵攻準備、人口密集地での軍事作戦へ特殊部隊合流…住民60万人が退避(24年5月18日 読売新聞オンライン無料版)

 

記事【エルサレム=福島利之】

 

(1)要点

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は16日、パレスチナ自治区ガザを上空から視察後、兵士を前に「(ガザ最南部)ラファの戦闘は重大だ」と述べ、ラファでの作戦を強化する方針を示した。

ヨアブ・ガラント国防相は同日、ラファへの地上部隊の増派を発表しており、米国がラファの大規模侵攻に反対する中で、なし崩し的に侵攻を進める構えだ。

 

リンク イスラエル軍、ラファに部隊を増派へ…60万人が沿岸部などに避難

 

写真 16日、ガザを上空から視察するネタニヤフ首相(左から2人目)=イスラエル政府提供

 

(2)ネタニヤフ氏は、イスラエル南部の基地で大隊司令官らと会談し、「ラファでの戦闘はガザでの軍事作戦を決定づけるだろう」と強調した。

ガラント氏は、ラファで複数の地下トンネルを破壊したとして「作戦は強化されるだろう」との見通しを示した。

軍報道官によると、人口密集地での作戦にあたる特殊部隊がラファでの戦闘に合流した。

 

写真 16日、ガザ最南部ラファ近くにあるイスラエル南部の基地を訪問し、兵士らと協議するネタニヤフ首相(右)=イスラエル政府提供

 

(3)ラファからは、住民の避難が続き、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の15日の発表によると、これまでに60万人が沿岸部などに退避した。軍が今月6日に退避命令を出すまでは、ラファには100万人超が身を寄せていた。

 

(4)(米国防総省)

オースティン国防長官が16日、ガラント氏と電話会談し、ラファでの軍事作戦を前に、民間人の保護と人道支援を確実にするよう求めた。

 

(5)ガザ北部でも激しい戦闘が続いている。軍は16日、北部ジャバリヤで兵士5人が死亡し、7人が負傷したと発表した。戦車が建物内にいた味方の兵士を敵と誤認して砲撃したという。