岐阜で井戸水位低下、工事影響か リニアトンネル掘削(24年5月15日 newsYahoo! 共同通信)

 

記事

 

(1)要点

JR東海は14日、リニア中央新幹線のトンネル掘削工事を行っている岐阜県瑞浪市で、井戸など14カ所で水位の低下を確認したと明らかにした。

他に地下水に影響を与えるような工事は行われていないため、同社はトンネル掘削が影響した可能性があるとしている。掘削工事は今後も慎重に続けるという。

 

(2)同社によると、計32カ所の水源やため池、個人の井戸を調査したところ、うち14カ所で水位が低下し、一部は使用できない状況であることが分かった。

 

(3)昨年12月と今年2月中旬、瑞浪市大湫町でトンネルの掘削中に湧水が発生。2月下旬、同社が設置している水位観測用の井戸で低下を確認したのを受け、調査を行った。

 

■地下水・地殻ひずみで地震を予測する 産総研マガジン  21/03/26

科学の力を駆使して、地震の予兆を把握しようとする取り組みが進められている。例えば地殻変動を高い精度で観察することによって、その変化分をデータとして収集し、地震発生の前兆とどう関係しているのかを探る方法もその一つだ。

 こうした観察に必要な調査施設として「地下水・ひずみ観測井(ちかすい・ひずみかんそくせい)」と呼ばれる井戸が注目されている。

井戸といっても、地下水位や地殻ひずみを観測する計器を設置するための専用の井戸であり、通常は100~200 m程度の深さまで掘られる。

 産総研では、東海地震の予知に関する研究を進めるという国の方針に応じて、1970年代後半から静岡県とその周辺、紀伊半島、そして四国地方へと、地下水を観測するために「地下水・ひずみ観測井」を順次設置してきた。

 今では南海トラフ地震の震源域付近に対象を広げ、600 m、200 m、30 mという深さの異なる3種類の井戸をもつ観測地点を、新たに16カ所追加設置した。

3種類の井戸では、それぞれの深さを通っている地下水脈(帯水層)の水位や水温の変化をチェック。最も深い600 mの井戸の底には超高精度のひずみ計を設置し、地殻のわずかな変動を24時間、休みなく観測している。

 この観測網を使い、南海トラフ地震の予測に役立つ地下水・地殻ひずみの変化を高精度なデータとして捉えることを目指している。

地下水位と地殻ひずみの変動データからわかること

 1854年に起きた安政東海地震・安政南海地震の前にも井戸水が涸れたという記録が古文書に残っている。

1946年の南海トラフ地震の数日前には12カ所の井戸で地下水位の低下や温泉湯量が変化したことが報告されている。

つまり、地下水については「言い伝え」だけではなく「実測値」としての変化が地震の起きる前に観察されている記録が残っているのだ。

 「過去に報告された例はありましたが、当時、地下水を用いた地震予測はマイナーな研究分野で、地震予測の専門家の間では信頼度が低いという印象ももたれていました。しかし、数十年間にわたる観測・研究の蓄積によって、地下水位と地殻変動との関係性が徐々に明らかになり、現在は地下水の情報も地震予測につながるデータとして正式に採用されています」