Up&Down 巨大テック、AI成否で格差(24年5月11日 日本経済新聞電子版)

 

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(1)米巨大テック企業の人材戦略に注目が集まっている。

米テスラが大胆なリストラに踏み切る一方、米エヌビディアは積極的な採用が続く。

生成AI(人工知能)をはじめ将来の稼ぐ力を映しているとの見方がある。「マグニフィセント7(壮大な7社)」の変調を示す動きともいえそうだ。

 

(2)削減が目立つのがテスラ

 4月に世界で従業員の10%以上を減らすと発表。株価は同月下旬に1年3カ月ぶりの安値をつけた。

「テスラの大規模削減は電気自動車(EV)の普及にも関わる」(大和証券の木野内栄治チーフテクニカルアナリスト)と懸念された。

米アップルも開発中止が明らかになったEV部門の従業員を削ると報じられている。

 

(3)米アマゾン・ドット・コムと米アルファベット(グーグル親会社)、米メタ・プラットフォームズも2023年に大規模な人員削減に踏み切っている。

 

(4)米エヌビディアは採用を増やす 

 今年1月までの1年間で、従業員を13%(約3400人)増やした。株価は昨年末比で79%高と、7社で最も上昇している。

 

(5)3者を分ける主因は、世界を席巻する生成AIの収益化との声がもっぱらだ。1)テスラとアップル 生成AIの開発で出遅れ、

2)米マイクロソフトやアマゾン クラウドを通じて生成AIを提供する米マイクロソフトやアマゾンなどは本格的な普及まで投資が先行する。

3)エヌビディア 開発段階でも収益が増えるため、違いは大きい。

 

(6)楽天証券経済研究所の香川睦チーフグローバルストラテジストは「人手が追いつかないエヌビディアは別格として、クラウド3社とテスラやアップルの間でも、成長力に差が出る可能性がある」と語る。

「壮大な7社」の格差は、今後さらに拡大するかもしれない。