トヨタ、米中でEV前面 テスラ減速の中 増産や新車投入(24年4月27日 日本経済新聞電子版)

 

 

写真 トヨタのインディアナ州の工場でEV生産を始める

 

(1)要点

トヨタ自動車は主力市場の米国と中国で電気自動車(EV)戦略を推し進める。

26日、新たに米インディアナ州でも2026年からEVの生産を始め、現地2工場に広げると発表した。

中国では新型車2車種を発売し、ネット大手の騰訊控股(テンセント)と戦略提携する。ライバルのEV大手、米テスラの業績が鈍化するなか、トヨタは積極策に打って出る。

 

(2)トヨタのインディアナ州の工場へ14億ドル(約2100億円)を投じ、3列シートを備えた多目的スポーツ車(SUV)タイプのEVを生産する。

電池

 ノースカロライナ州に建設中の電池工場で生産し、調達する。

 電池をパックに組み立てる生産ラインをインディアナ州の工場に新設する。同工場では現在、SUV「ハイランダー」などを生産している。

米ケンタッキー州の工場でも同じタイプのEVを生産する計画だが、異なるモデルという。ケンタッキーでは25年の生産開始を目指しているが、26年にずれ込む可能性もある。

 

(3)「トヨタ販売台数の44%が米国中国」

北米と中国はトヨタにとって重要な市場だ。

23年度の世界販売台数のうち北米は約26%、中国は約18%を占める。

米国では3列シートのSUVが人気を集めており、需要に応じた車種を生産する。

一方で既に世界屈指のEV市場の中国で求められるのはスピード感だ。そのため他社との連携にも積極的に乗り出している。

 

(4)「EVは中国現地企業と共同開発 リスクか利益か」

25日開幕の「北京国際自動車ショー」では、EV新型車2つを世界初公開し、1年以内に発売するとした。

クロスオーバー「bZ3C」は比亜迪(BYD)や中国第一汽車集団との合弁、SUV「bZ3X」は広州汽車集団などと共同開発した。テンセントとは24年中に共同で開発したサービスなどを搭載した車両を投入する。

 

(5)トヨタはEVだけでなく、ハイブリッド車(HV)や水素で走る燃料電池車など環境車を幅広く取りそろえる「全方位戦略」を掲げる。

強みのHVは価格や利便性、燃費性能から人気を集めて好調だ。

世界販売は23年度で約355万台と過去最高だった。