米テスラ、低価格車のローンチ加速へ-売上高は市場予想に届かず(24年4月24日 ブルームバーグ日本語電子版無料版)
記事(Dana Hull)
(1)要点
- 25年後半より前に低価格車の生産を開始する計画-株価一時7%高
- 1-3月期の自動車粗利益率は16.4%、市場予想下回る
(2)「利益率低下や販売不振に歯止め」
電気自動車(EV)メーカーの米テスラは23日、利益率低下や販売不振に歯止めを掛けるため、買い求めやすいモデルのローンチを急ぐ方針を明らかにした。
テスラは以前に表明していた2025年後半より前に、低価格車の生産を開始する計画。EV需要の失速を受けた販売不振に対応する。
(3)業績
23日の発表資料によると、1-3月(第1四半期)の調整後1株利益は45セントで、ウォール街の予想の52セントを下回った。売上高は9%減の213億ドル(約3兆3000億円)で、アナリスト予想の223億ドルには届かなかった。
ニューヨーク株式市場の時間外取引では、テスラ株は午後4時44分(日本時間24日午前5時44分)時点で7%上昇。
(4)テスラは納車のペースが昨年を下回る可能性があるとし、短期的な成長期待を抑えた。「24年にテスラの車両台数の伸びは23年に達成した成長率を著しく下回る可能性がある。当社のチームは次世代車両とその他製品のローンチに取り組んでいる」と説明した。
同社は米国のEV市場では引き続き優位にあるが、利益は数四半期にわたり圧迫されている。
収益性の重要指標である自動車事業の粗利益率は1-3月期に16.4%となり、市場予想の17.6%を下回った。22年初めに報告した30%のピークにはほど遠い。
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(2)電気自動車(EV)メーカー、米テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の部下たちは混乱に慣れている。厳しい目標を設定し、しばしば突然方向転換する経営者の下で働くということはそういうことだ。
しかし、今年は手に負えない状況だ。販売不振や混乱した製品開発方針、追加値下げを受け、株価は40%余り下落した。
(3)かつて中国EV市場で圧倒的な強さを誇ったテスラの地位は脅かされている。
モディ首相との会談も予定していたインド訪問は投資発表が期待されていたが、直前になって延期された。その間、取締役会は1月に判事が無効判断を下したマスク氏への560億ドル(約8兆6600億円)の報酬を復活させようとしている。
(4)「過去最大のレイオフを指示し「ロボタクシー」に賭けた」
23日の決算発表では、テスラは営業利益の40%減少と4年ぶりの減収を報告する見込み。
マスク氏は同社として過去最大のレイオフを命じ、「ロボタクシー」と呼ばれる次世代の自動運転車コンセプトに会社の将来を賭けた。
CEOの指示について知る複数の関係者らは、マスク氏が推進を目指す見直しに不安を感じていると匿名で話している。
戦略転換に関する報道を受け、テスラのパワートレイン・エンジニアリングとエネルギー事業を率いていた勤続18年のベテラン、ドルー・バグリノ氏を含む主要管理職が退社した。
(5)自動運転タクシーサービスの構想は、少なくとも8年前からテスラの周りで浮上していたが、まだ必要なインフラの多くを立ち上げておらず、公道でのテスト走行で規制当局の承認も得ていない。
(6)「大衆車の投入計画は先送り」
価格を2万5000ドルに抑えた大衆車の投入計画は、多くの投資家(そして一部の内部関係者)が同社の将来にとって極めて重要だと考え推進しようとしているが、マスク氏は当分の間、先送りすることとした。
(7)「テスラの戦略に疑念 投資判断を引き下げ目標株価を3割強下方修正」
同社の時価総額は4690億ドルで、依然としてゼネラルモーターズやフォード・モーターの9倍強だ。
だが、時価総額が4カ月間で3500億ドル近く減少し、従業員や投資家、アナリストは同様に当惑し、テスラの戦略に疑念を抱いている。
(ドイツ銀行のアナリスト、エマニュエル・ロズナー氏)
先週、「これまでテスラのEV販売台数とコストの優位性に注目していた投資家がさじを投げる能性もある」と指摘。
テスラ株の投資判断を「買い」から引き下げ、目標株価を3割強下方修正した。
写真 マスク氏はテスラの従業員10%強の解雇を発表Photographer: Ebrahim Noroozi/AP Photo
(8)(同社の計画に詳しい関係者)
1)実際には解雇者数は2万人を超える可能性もある。
テスラは昨年10-12月(第4四半期)から今年1-3月(第1四半期)にかけて納車台数が20%減少したため、人員を2割削減すべきだというのがマスク氏の論拠だという。
2)今回のリストラの後も残っている従業員に対し、マスク氏は「自動運転に全力を挙げる」と先週宣言した。
ロボタクシーは現在、マスク氏が4年前に初めて予告した低価格EVよりも優先されており、試作品のスケジュール設定と生産能力手配の両方に関して優先度が高いと関係者1人は明かした。
(9)マスク氏は自動運転支援システム「FSD(フルセルフドライビング)」として売り出した製品について何千ドルもの価格を顧客に納得させてきた。
ただ、FSDは常時監視を必要としており、自律走行を表すものではない。それでもマスク氏はこのブランド名にふさわしいものになりつつあると繰り返し述べてきた。
写真 テスラが2015年に初めて導入したオートパイロットPhotographer: David Paul Morris/Bloomberg
(10)「ロボタクシーが優先 コスト削減で人気車種モデルY、モデル3の廉価版の予定とも」
FSDを巡る楽観論と、こうした新たなアプローチによるロボタクシー実現へのマスク氏の信念が、2万5000ドルの低価格EVプロジェクトの将来を曇らせている。
関係者らはロボタクシーが優先されていると確認したが、次世代車両プロジェクトは部品や生産方法からコスト削減を絞り出し、そうした技術革新を同社の人気2車種である「モデルY」と「モデル3」の廉価版に適用する取り組みだと関係者の1人は説明した。
リンク マスク氏、テスラが低価格車の計画取りやめとの一部報道を否定
(11)「「投資家、特に機関投資家は辛抱できなくなりつつある」
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のアナリスト、スティーブ・マン氏は「投資家、特に機関投資家は辛抱できなくなりつつある。FSDとロボタクシーに関する当初の大騒ぎは弱まり、振り子は反対方向に振れている」と指摘した。
写真 サイバートラック量産には1-1年半かかる可能性があるとマスク氏は説明Photographer: Kyle Grillot/Bloomberg
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原題:Tesla Is Consumed by Chaos in Shift to Musk’s Robotaxi Dream(抜粋)
アップル、5月7日に特別イベント開催-新型iPad発表へ(24年4月24日 ブルームバーグ日本語電子版無料版)
記事(Nick Turner、Mark Gurman)
(1)米アップルは、5月7日に特別イベントを開催すると明らかにした。新型「iPad(アイパッド)」の発表が予想される。
イベントへの招待状には、「アップル・ペンシル」とみられる描写がなされている。イベントの開始時間は米東部時間午前10時(日本時間午後11時)。
写真 アップルが5月7日に開催するイベントの招待状Source: Bloomberg
(2)(ブルームバーグ・ニュース)
3月、アップルのサプライヤーがiPadの生産を増強させており、5月初めの発売を予定していると報じていた。
(事情に詳しい複数の関係者)
「iPad Pro」と「Air」が刷新される見通し。Proは有機EL(OLED)ディスプレーを備え、Airでは12.9インチスクリーンのオプションが追加されるという。
リンク アップル新型iPad5月初め発売、海外サプライヤーが生産増強-関係者
原題:Apple to Hold Launch Event on May 7, With New iPads Expected(抜粋)