東京15区補選 小池都知事と玉木氏は運命共同体、「文藝春秋」手記の影響は 安積明子(24年4月20日 産経新聞オンライン無料版)

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(1)要点

衆院3補選が16日告示され、28日の投開票までの選挙戦が幕を開けた。特に、東京15区は候補者が相次いで名乗りを上げる〝大混戦〟となっている。

 

(2)「無所属での出馬を表明した作家、乙武洋匡氏に注目が集まる」

東京都の小池百合子知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」が国政進出を念頭に設立した「ファーストの会」副代表である。

当初は〝相乗り〟を模索していた自民党だが、乙武氏への推薦見送りを表明した。推薦願がなく、地元で強い反対があったためという。

 

(3)こうしたなか、自民党との〝相乗り〟をかたくなに否定していた国民民主党は、すぐ乙武氏への推薦を決めた。

国民民主党は2022年の参院選でも、当時、都民ファーストの会代表で東京選挙区(定数6人)から出馬した荒木千陽(ちはる)氏を推薦した。

小池氏の秘書も務めた〝秘蔵っ子〟だったが、支持は広がらず、得票は10位の28万4629票に沈んだ。

 

(4)「国民民主党の玉木雄一郎代表はさながら、小池氏と〝運命共同体〟」

13日には東京15区内の豊洲で小池氏、乙武氏と宣伝カーに上った。翌14日には、目黒区長選に出馬した伊藤悠前都議を小池氏とともに応援した。

国民民主党の悩みは政党支持率の伸び悩みだ。さらに〝仲間〟も次々と去っていく。

 

(5)昨年12月、玉木氏との代表選に敗れた前原誠司代表代行が同志を引き連れて離党した。22年には、岸本周平衆院議員が和歌山県知事に転出した。代表代行だった大塚耕平参院議員も、来年4月に任期満了となる名古屋市長選に出馬するため離党した。

 

(6)「国民民主としては、小池氏と連携して存在感を高める作戦だったが」

ただ、10日発売の月刊「文藝春秋」5月号が、元都民ファーストの会事務総長で弁護士の小島敏郎氏による「小池百合子都知事 元側近の爆弾告発」「私は学歴詐称工作に加担してしまった」という全16ページの衝撃手記を掲載した。

小池氏は12日の定例会見で、「カイロ大学が卒業を認めている」「卒業証書と証明書はこの場でもお伝えしてきている」などと、疑惑を完全否定した。

これに対し、小島氏も同日、報道陣の取材に応じて、「検察官、裁判所で決着をつけないといけないときに提出するための証拠の保全をしている」などと徹底追及する構えを見せた。

東京15区補選の勝敗とともに、文藝春秋が報じた疑惑の先行きが注目される。(政治ジャーナリスト・安積明子