利用率に関係なく健康保険証廃止 マイナカード一本化で厚労相 (24年4月19日 newsYahoo! 共同通信)

 

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(1)(武見敬三厚生労働相)

 18日の参院厚労委員会で、マイナンバーカードに健康保険証の機能を持たせた「マイナ保険証」の利用率に関係なく、12月に現行の健康保険証を廃止し、マイナ保険証に一本化すると述べた。

 政府は12月2日から健康保険証の新規発行を停止し、廃止すると既に決定している一方、3月のマイナ保険証利用率は5.47%と低迷している。

 

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(2)武見氏は、廃止後も最長1年間は現行の健康保険証を使える猶予期間があり、マイナ保険証を所有していない人には「資格確認書」が発行されると説明。

 「利用率にかかわらず、12月以降の医療機関受診に支障が生じるとは考えていない」と強調した。共産党の倉林明子氏への答弁。

 

<私見:

「保険証の返納」

 

2001年の総合規制改革会議「重点6分野に関する中間とりまとめ」のなかに企業による病院経営、保険者と医療機関との直接契約、公私混合診療の自由化など米国の医療業界にならう改革案が含まれていたが、これには厚労省は異論を唱えた。また米国の経験から医療の市場化、医療ビジネスには批判があった(19)。しかし1982年第二臨調基本答申以来の民営化推進は福祉にも浸透してきた。

小泉政権では英米の「ワークフェア」のように、2002年に児童扶養手当を圧縮し、同時に就労支援の強化を行った。

「ワーキングプア」

一方、商店などが近所に大規模店ができて店を開けてもお客が来ない、あるいは低賃金で働いても働いても非正規社員では収入が生活費に足りないという、いわゆる「ワーキングプア」が増え、国民健康保険の保険料が払えない場合には保険証を取り上げられた。担当者は「保険は保険料を払う人の助け合い」だから保険料を払えない人には生活保護の医療扶助があるという説明を繰り返した。制度上は、保険料を滞納すると有効期間が短い「短期保険証」に切り替えて保険料納付の督促をし、払う能力があるのに払っていないと判断された場合は「資格証明書」を発行し、いったんは病院窓口で医療費の全額を支払い、後日、保険料納付を催促しながら給付分を払い戻すことになっていた。

(岸・増田『社会保障の保守主義 増補改訂版』)>