理系進学2万人増へ 文科省、「DXハイスクール」1000校に(24年4月16日 日本経済新聞電子版)

 

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(1)文部科学省は2024年度からデジタル教育の拠点となる高校を「DXハイスクール」と指定し、28年度に指定校から大学の理系学部への進学者を2万人増やす。

成長分野を支えるデジタル人材の育成の裾野を広げる狙いがある。

 

(2)国の推計ではデジタル人材は30年には最大約79万人が足りなくなる。

文科省は担い手を増やすため、デジタル系を含む理系学部を新増設する大学への支援を打ち出し、27年度までに理系学部の入学定員は計1万1千人増える見通し。これに併せて高校からの進学者も増やす必要があった。

 

(3)「スーパーサイエンスハイスクール」

同省は02年度から一部のトップ校を「スーパーサイエンスハイスクール」に指定し、国際的な科学技術人材の育成を進めている。DXハイスクールの展開でより幅広い層を対象にデジタル人材を育てる考えだ。

DXハイスクールに指定されるのは全国約1000校で、公立が7割超。1校につき最大1000万円が補助される。

指定校から理系学部への進学者を現状の4万人から28年度に6万人に増やす。16日にも指定校を公表する。

 

(4)DXハイスクールでは遅くとも26年度までにプログラミングなどを学ぶ発展的な選択科目「情報2」を設置し、2割以上の生徒の受講を目指す。

3Dプリンターなど高度な設備を整え、ICT(情報通信技術)を活用した文理横断的・探究的な学びに取り組む。

今後の課題は指導者の確保だ。

高度な内容を含む「情報2」を教えることに不安や負担を感じる教員も多いことから、情報処理学会は1月、教員向けの研修の拡充などで支援する考えを示した。

 

(5)文科省は高校段階からの取り組み強化で、現在は全体の35%にとどまる自然科学分野の学位取得者を32年度までに約5割に引き上げ、31万人とすることを目指す。

(東京学芸大の堀田龍也教授(教育工学))

 DXハイスクールについて「人工知能(AI)など日々進化する先端技術を用いた教育は高校の教員だけでは限界がある。国や民間が率先して持続的にノウハウを共有し連携する場を構築していく必要がある」と話した。