中国・天津の「伊勢丹」が閉店、中国企業が引き継ぐ…30年余り親しまれ「青春の思い出の場所」(24年4月15日 読売新聞オンライン無料版)
記事【天津=山下福太郎】
(1)要点
中国沿岸部・天津市の「伊勢丹南京路店」が14日夜、最後の営業を終えて閉店した。
人口約1300万人の大都市の中心部で30年余りの間、日系百貨店として親しまれたが、閉店セレモニーは行われなかった。
(2)午後9時過ぎ、最後の来店客を数人の従業員が「謝謝」と言って見送ると、入り口のドアが施錠された。
日本で百貨店が閉店する時のように「長年のご愛顧」を伝える館内放送などもなく、普段と同じ終業風景だった。
「伊勢丹」の看板を背に妻と記念撮影していた近所の男性(43)は「高校生の頃、友達と遊びに来た青春の思い出の場所だけにさみしい」と惜しんだ。
(3)南京路店は1993年に「中国1号店」として開業した。建物の賃貸契約が満期になったことなどが閉店の理由という。
15日以降、南京路店は中国企業が店舗全体を引き継ぎ、伊勢丹に入居していたテナントの大部分は従来通りに営業を継続する。
女性店員は「建物の看板が変わるだけで、大きな変化はない」と淡々と語った。
(4)中国の伊勢丹は、2022年に内陸部・成都市の店舗が閉店し、天津市にある残り2店舗のうち1店舗も今月下旬に閉店する。
上海市の伊勢丹も今年6月に閉店予定で、中国本土で営業する伊勢丹は天津市の1店舗になる見通し。