アイルランド新首相に37歳ハリス氏選出 同国史上最年少(24年4月10日 産経新聞オンライン無料版)

 

 

写真 アイルランド新首相に選出されたサイモン・ハリス氏=9日、ダブリン(AP=共同)

 

記事【ロンドン=黒瀬悦成】

 

(1)アイルランド下院は9日、統一アイルランド党のサイモン・ハリス党首(37)を新首相に選出した。

これまで首相として連立政権を率いてきたバラッカー氏(45)が8日に正式辞任したのに伴う措置。ハリス氏は同国史上最年少の首相となる。

 

■サイモン・ハリス  ウィキペディア

ダブリン工科大学中退[4]

2009年の地方選挙で、ハリスはアイルランドの県議会議員の中で最も高い得票率でウィックロー県議会議員とグレイストーンズ町議会議員に選出された。

2011年にはウィックロー選挙区の下院議員として議席を獲得した。議員に就任した同年、エンダ・ケニーの首相選出を同党最年少議員として支持し、演説を行った[5]。2013年には自身が提出した精神保健差別禁止法案を可決させた[6]

2014年には国際銀行業務を担当する財務省国務大臣に選出された[7]

2015年から2016年の冬にかけて国中で激しい洪水が発生した際、ハリスは政府が2015年の洪水救済事業の予算のうち1,300万ユーロを全拠出したことを野党から非難された[8]

2016年には保健大臣に任命されたが、3万人の医療従事者と4万人の看護師がストライキを起こす可能性に直面した[9]

「中絶の合法化の支持」

ハリスは同国における中絶の合法化の支持を表明している。

在職中は国民投票で承認された憲法修正第36条と、憲法による中絶の禁止を削除する憲法修正第 36 条と、特定の状況下で中絶を許可する2018年保健(妊娠中絶の規制)法を担当した。2020年には新型コロナウイルスに関係する保健緊急措置法を導入[10]

2020年6月27日にはミホル・マーティン首相から高等教育大臣に任命された[11]

2022年5月4日、彼は高等教育に持続的に資金を供給し、学生と家族の教育コストを削減するための新しい政策「Funding our Future」を発表した。2022年12月17日には法務大臣であったヘレン・マッケンティーの産休に伴い、一時的に法務大臣を務めた[12]

2024年3月24日、レオ・バラッカー首相の辞意表明に伴う与党・統一アイルランド党の党首選挙の立候補が締め切られ、唯一の立候補者だったハリスが党首に就任[13]

同年4月9日、下院にて首相に選出された。37歳での首相就任はアイルランド史上最年少である[1]

 

■統一アイルランド党  ウィキペディア

アイルランドの自由主義保守政党であり、「Fine Gael」は「ゲール人の家族」といった意味であり、人民党[5]、またはそのまま音訳でフィナ・ゲール[6]、もしくはフィネ・ゲール[7]と呼ばれることもある。

統一アイルランド党は、1933年9月8日に親政党であるクマン・ナ・ゲール、ナショナルセンター党、ナショナルガードが合併して誕生した[15]

政党の起源は、アイルランド独立戦争とそれに続くアイルランド内戦の際の英愛条約賛成派にあり、特にマイケル・コリンズはこの運動の創始者として知られている[16]

統一アイルランド党は一般的に、伝統的なライバルである共和党よりも経済的自由主義の支持者であると考えられている[17]

1987年のような短期間の少数政権を除けば、統一アイルランド党は、社会民主主義的な中道左派政党である労働党を含む連立政権なしにアイルランドを統治したことはほとんどない。

「中核的価値は「機会均等、資本主義、安全性、誠実さ、希望」など」

統一アイルランド党は、自らを「進歩的中心の党」と表現し、「ドグマやイデオロギーに関係なく、アイルランドにとって正しい方法で行動する」と定義している。「機会均等、資本主義、安全性、誠実さ、希望」などの中核的価値を挙げている[18][19]

「EU支持派」

国際政治では、欧州連合(EU)を強く支持しており、イギリスとの関係強化やアイルランド共和主義の物理的強制に反対することを概ね支持している。党の青年翼「青年統一アイルランド党」は1977年に結成され、約4,000人の党員を擁している[20]。統一アイルランド党は欧州人民党の創設党でもある。

2011年から2016年までは労働党との連立政権、2016年から2020年までは無所属議員(TD)とともに少数派政権であった統一アイルランド党は、現在、伝統的なライバルである共和党、緑の党との歴史的な連立政権の一部を形成しており、レオ・バラッカーが副首相を務めている。