きょうのことば「ウィーン条約」在外公館の不可侵権規定(24年4月3日 日本経済新聞電子版)

 

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(1)▽…オーストリア・ウィーンで締結された多国間条約。

外交・領事関係に関する条約のほか、オゾン層保護に関する条約や、原子力損害賠償に関する条約がある。1961年に採択された外交関係に関する条約では、外交官の身体の不可侵が保障され、受け入れ国の捜査当局に逮捕されたり、訴追されたりしない特権が与えられている。

 

(2)▽…在外国民の援助や各国領事の権限の国際慣習をまとめた領事関係に関する条約は63年に採択された。

第31条で在外公館の不可侵権を規定している。このほか領事機関の設置、移動・通信の自由、裁判権からの免除など79条からなる。

 

(3)▽…中東では過去にも外交・領事関係に関する条約に違反して在外公館が襲撃される事件が発生している。

79年にはイランで学生が米大使館を占拠し、大使館員を人質に取る事件が起きた。2019年末にはイラクの米大使館で投石や放火を伴う抗議行動が起きた。当時のトランプ米政権はイランが扇動したと主張。イラン革命防衛隊の司令官らが暗殺される事態に発展した。