低学年、給食誤嚥リスク 「食材は小さく切って」 福岡の小1が喉に詰まらせ死亡 歯の生え替わり期、かむ力弱く(24年4月1日 日本経済新聞電子版)

 

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写真 死亡した男子児童らに出された給食=福岡県みやま市教育委員会提供

 

(1)福岡県で2月下旬、小学1年の男子児童が給食を喉に詰まらせて亡くなった。ウズラの卵が原因とされる。

小学校低学年は歯が生え替わる時期で、食材をかみ切る力がまだ弱い。

同様の死亡事故は2022年までの10年間で140件に上る。専門家は窒息を起こさないよう、小さく切り分けるなどの対応を呼びかける。

 

(2)死亡事故が起きたのは福岡県みやま市の市立小。

市教育委員会によると、2月26日昼の給食が始まった直後、1年の男児(7)が立ち上がって苦しそうな様子をみせた。給食を喉に詰まらせており、担任らが背中をたたくなどしたが搬送先で亡くなった。

 

 

 

(3)給食のみそおでんに入っていたウズラの卵が原因だったとみられる。

市教育委員会の待鳥博人教育長は「起きてはならない事故が起きてしまったことを大変重く受け止めている」とコメント。

栄養価が高いことからウズラの卵を給食で使っていたが、当面は献立から外すことを決めた。

 

(4)「ウズラの卵、ブドウやミニトマト、サクランボ 要注意!」

子どもが食べ物を喉に詰まらせる事故は後を絶たない。

厚生労働省の統計によると、14歳以下の食べ物による窒息死は13~22年の間に140件起きた。

(日本小児科学会)

 窒息を起こしやすいものとして、ウズラの卵のように丸い形状で、表面が「つるっとした」食材を挙げる。

 15年にも大阪市内の小学校で、給食のウズラの卵などを喉に詰まらせた小1の女児が亡くなった。

 

 

同学会はほかにブドウやミニトマト、サクランボなどを例示し注意を呼びかける。こども家庭庁はこうした食材について、保育施設を対象に給食で避けるべき食材としてガイドラインで示している。

 

(5)(文部科学省の手引書)

文部科学省の手引書は

 思いがけず誤嚥(ごえん)する恐れのある丸い形状の食材に注意が必要

 食べやすい大きさにして、よくかんで食べるように指導する――

と定める。福岡の事故を受け、全国の教委などに改めて対応の徹底を求めた。

 

(6)「歯が生え替わる時期はかまずに丸ごと吸い込んでしまう」

子どもの事故予防に取り組むNPO法人「Safe Kids Japan」(東京・世田谷)理事長で小児科医の山中龍宏氏は「歯が生え替わる時期に当たる小学校低学年は、食べ物をかみ切る力が弱いため丸ごと吸い込んでしまう」と指摘する。「リスクの高い食材は提供を避けるか、4等分するなど小さく切って提供する対応が必要だ」と話す。

 

(7)「食べ物が喉に詰まってしまった場合の対処」

山中氏によると、一般的に気道が塞がれてから5分を過ぎると死亡率が約50%に急激に高まるという。

(東京消防庁)

 ホームページなどで対処法を紹介している。

 1)まずは速やかに119番通報。

 2)その上で成人や1歳以上の子どもの場合、

   ア)あごを支えて肩甲骨の間を強くたたく「背部叩打(こうだ)法」、

   イ)背後からおなかに手を回して斜め上へと引き上げる「腹部突き上げ法」をすすめる。

 3)1歳未満の乳児

  内臓を傷つける恐れがあるため腹部突き上げ法は避ける。

  背部叩打法に加え、膝の上にあおむけに寝かせ胸骨を強く押す「胸部突き上げ法」が有効としている。

(前田健輔)

 

<私見:

あたしは昭和19年生まれ、小学校へ上がったのは昭和25、6年。脱脂粉乳のココア味がおいしかった。忘れられません。ワカメ入りの味噌汁も。

この記事の給食の写真を見ると、生産者の方、流通の方、栄養士さん、調理の方たちみんなの願いと善意が見えてきます(涙)。

先日、NHK「英雄たちの選択 栄養で日本を救え!食いもの博士・佐伯博士の挑戦」で、先覚者が日本人に栄養が必要な事を主張し、貧乏人も金持ちも隔てなく平等な学校給食が全国津々浦々に普及し、日本復興に大いに寄与されたことを知りました、また、専門家が「戦後の経済成長は栄養が良かったからこそ実現した。経済が豊かになったから日本人の栄養が良くなったわけではない」と仰ってました。また、佐伯博士は科学的に必要な栄養よりも「心」つまりいろいろな意味での好き嫌いで食事をするようになることを危惧していたとか。

北欧のスウェーデンが福祉国家建設途上の時、社会労働党は「産業は福祉の糧」とよびかけ自国の産業育成にも力を注ぎ「福祉と経済の両立」を実現しました。経済と栄養、経済と福祉。鶏が先か卵が先かといってる場合ではなさそうです>