コラム:円安上限は155円か、ブレーキ作動に3つの経路(高千穂大准教授)内田稔氏(24年3月28日 ロイター日本語電子版無料版)
記事[27日 ロイター (田巻一彦)] -
(1)要点「円安要因は大幅なマイナス圏の実質政策金利」
1)2022年以降の主要通貨の相場に対して、最も高い説明力を持つのは実質金利の動向だ(大規模な自国通貨買いの影響を受けたスイスフランを除く)。
3月19日に日銀がマイナス金利を解除した後も円安が続いているのは、実質政策金利が大幅なマイナス圏にとどまっているためだろう。
2)しかも、植田和男総裁が緩和的な金融環境が続くと説明したため、円の弱点が温存される見通しだ。
3)名目金利の上昇が円高に作用しない点は、長短金利操作(イールドカーブコントロール、YCC)の下での長期金利上昇後も円安が続いたことから既に確認されている。
4)目先については、マイナス金利解除といった円高材料の出尽くし感も意識されやすく、ドル/円は底堅く推移しそうだ。
ただ、これまで何度も跳ね返された152円の上抜けには、円安に加えてドル高も必要だろう。
(以下省略)
*内田稔氏は、高千穂大学商学部准教授、FDAlco外国為替アナリスト。慶應義塾大学卒業後、東京銀行(現・三菱UFJ銀行)入行。マーケット業務を歴任し、2012年から2022年まで外国為替のチーフアナリスト。22年4月から現職。J-money誌の東京外国為替市場調査では2013年より9年連続個人ランキング1位。国際公認投資アナリスト、証券アナリストジャーナル編集委員、公益財団法人国際通貨研究所客員研究員、経済学修士(京都産業大学)。