「疑わしきは罰する」不祥事に厳しいMLB 水原一平氏解雇で大谷選手へのダメージ懸念も(24年3月21日 産経新聞オンライン無料版)

 

記事(浅野英介)

 

(1)米大リーグ(MLB)、ドジャースの大谷翔平選手(29)の資金を賭博に使うため「大規模に盗んだ」として告発され、ドジャースから解雇された通訳の水原一平氏。

開幕直後に判明した衝撃的な一報は、米メディアでも相次いで取り上げられた。

賭博や八百長などの不祥事を巡っては、MLBはこれまでも対象者に対して永久追放処分を下すなど、厳しい姿勢で臨んできた。一方で、エンゼルスから二人三脚で歩んできた大谷へのダメージを懸念する声も上がっている。

 

「サッカーなどに賭けていた」と米報道

 

(2)「野球界で最大の世界的スーパースターを巻き込んだ驚くべき展開」。水原氏の解雇についてこう報じたのは、米紙USAトゥデー(電子版)だ。

スポーツ専門局のESPN(電子版)は、「水原氏は2021年からサッカーの国際試合やその他のスポーツ(野球は除く)に賭けていた」などと報道。

「(大谷は)ギャンブルでの借金については何も知らず、ブックメーカーにも送金していない」という水原氏の証言なども紹介した。

 

(3)MLBでは1919年、ホワイトソックスの主力8選手が八百長に関与した「ブラックソックス事件」が発覚し、永久追放処分を受けた。89年にはピート・ローズ(レッズ)が野球賭博に関与したとして同じく永久追放処分になっている。

 

(4)大リーグ評論家の福島良一さんは「ブラックソックス事件など過去に起きた不祥事をふまえ、賭博などの問題には『疑わしきは罰する』という厳しい姿勢で臨んでいる」と指摘する。

 

写真 WBCで記念撮影に臨む(左から)大谷翔平、ラーズ・ヌートバー、水原一平通訳 =米フロリダ州マイアミのローンデポ・パーク(長尾みなみ撮影)

 

WBCでは橋渡し役も

 

(5)エンゼルス時代から通訳を務めてきた水原氏は、練習のサポートなども務めるなど、二刀流の大谷とは二人三脚で歩んできた。

昨年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では、ラーズ・ヌートバー(カージナルス)が日本代表入りする際の橋渡し役も務めた。

福島さんは「(水原氏は)大谷選手にとって大事な存在で、メジャーでも二人三脚で歩んできた。大谷選手へのイメージに傷をつけただけでなく、精神面でのダメージも懸念される」と指摘する。

20日に行われたパドレスとの開幕戦では2安打1盗塁と、新天地でも本領を発揮した大谷。しかし、公私をともに歩んできた「相棒」がチームを去ることによって、今後の影響が懸念される。(浅野英介)