【全文】愛子さま大学卒業「一生の思い出」 オンライン授業の戸惑い “当たり前”の尊さ実感された対面授業や友人との交流 (24年3月20日 newsYahoo! FNNプライムオンライン)

 

記事

 

(1)天皇皇后両陛下の長女、敬宮愛子さまは3月20日、学習院大学の卒業式を迎えられた。

愛子さまは、卒業に際して4年間の大学生活を振り返り、宮内庁を通じて文書で感想を寄せられた。

 

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文書では、冒頭で能登半島地震の被災者へのお見舞いの言葉を寄せられた。その上で、大学での4年間を「一日一日は非常に濃く、学びの多い日々であった」と振り返られた。

 

(2)4年生

入学した2020年4月には新型コロナウイルスの影響で入学式が行われず、授業もオンラインで行われたが、当時について、「オンライン授業、インターネット上での課題の授受など、最初は操作も分からず、不慣れな手つきで恐る恐る画面を開き、授業を受講していたことを懐かしく思い出します」と綴られた。

キャンパスに通えるようになった4年生以降については、授業や調べ物、友人との交流を対面で行えた事について、「以前は当たり前であったこれらのことがいかに尊いものであるのか、実感することとなった学生生活でもありました」と振り返られた。

友人たちとのご交流は「一生の思い出」となったという。

 

(3)卒業論文

「式子(しょくし)内親王とその和歌の研究」という題名を明かされた。締め切り前には「気が遠くなるような毎日を過ごしておりました」と苦労を振り返り、「無事に提出できた時には、ほっとした気持ちと同時に大きな達成感がありました」と綴り、恩師や友人への感謝の言葉を寄せられた。

 

(4)4月から「皇族としての務めを果たしながら、社会人として」

 日本赤十字社の嘱託職員として働くことになるが、「皇族としての務めを果たしながら、社会人としての自覚と責任を持って、少しでも社会のお役に立てるよう、公務と仕事の両立に努めていきたいと思っております」と決意を述べられた。

 

(5)以下、卒業に際して寄せられた感想の全文。

 

愛子内親王殿下 学習院大学御卒業に際しての文書回答

 

問)大学卒業を迎えられる現在の心境はいかがでしょうか。4年間の大学生活を振り返り、特に印象に残った出来事やご友人との思い出、卒業論文の内容や執筆で苦労された点などをご紹介ください。将来的な海外留学や、大学院進学の希望はお持ちでしょうか。

 

答)

1)回答に先立ちまして、今年1月1日に発生した能登半島地震で多くの方が亡くなり、また、被災され、今も9千人を超える方が避難を余儀なくされていることに胸が痛みます。亡くなられた方々に深く哀悼の意を表し、御遺族と被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。

寒さも厳しい中、被災された皆様の御苦労はいかばかりかと思います。大変なことも多いと思いますが、今後、一日も早く平穏な日常が戻り、復旧・復興が進んでいくことを切に願っています。

 

2)この度、学習院大学文学部日本語日本文学科を卒業するに当たり、まず、お世話になりました先生方や職員の皆様を始め、大学関係者の方々、日頃から温かく接してくれた友人、そして、大学生活をそばで支え、見守って下さった天皇皇后両陛下に、心からの感謝をお伝えしたいと思います。

 

3)4年間の大学生活を振り返ってみますと、中学や高校の3年間かそれ以上にあっという間だったように感じられる一方で、一日一日は非常に濃く、学びの多い日々であったことを感じます。

 

思い返せば、新型コロナウイルス感染症の蔓(まん)延と同時期に始まった大学生活でした。

経験したことのないオンライン授業、インターネット上での課題の授受など、最初は操作も分からず、不慣れな手つきで恐る恐る画面を開き、授業を受講していたことを懐かしく思い出します。先生方や学校関係者の方々にとっても、初めての試みで苦労されることも多く、試行錯誤の毎日であったことと思いますが、皆様の御尽力によって、自宅で授業が受けられる環境を整えていただいたことは、とても有り難いことでした。

 

4)4年生から大学キャンパスに

感染症の流行が徐々に落ち着いてきた中で、4年生からは大学のキャンパスに足を運べるようになりました。

キャンパスでの学生生活では、先生やほかの学生さんたちと、教室で同じ空間や同じ時間を共有しながら授業を受けることや、授業で出された課題に取り組むべく、休み時間に図書館や研究室に調べ物に行くこと、そしてまた、友人たちと対面で交流することができるようになりました。その転換期を経験し、以前は当たり前であったこれらのことがいかに尊いものであるのか、実感することとなった学生生活でもありました。

高校までの友人たちとの嬉(うれ)しい再会とともに、大学入学後の新たな友人たちとの交流も始まり、学年の枠を越え、友人たちと一緒に授業を受けたり、直(じか)に話をして笑い合ったり、学内の様々な場所を訪れたりしたことは、私にとって忘れることのできない一生の思い出となりました。

 

5)また、中世の和歌の授業を履修する中で、和歌の美しさや解釈の多様さに感銘を受けたことから、大学における学業の集大成として書き上げた卒業論文では、中世を代表する女流歌人の一人であった式子(しょくし)内親王とその和歌を扱い、「式子(しょくし)内親王とその和歌の研究」という題で執筆を致しました。

 調べる資料や範囲が膨大で、一つのことを調べていると、次から次へと調べなければならない事柄が出てきてなかなか終わらず、特に締切りが近づいた昨年末は、気が遠くなるような毎日を過ごしておりました。

 また、作成する文章の量が、授業で課される普段のレポートに比べて遥(はる)かに多かったため、註(ちゅう)を付ける作業など、論文としての体裁を整えることにも時間を要しましたが、指導教授の先生からのアドバイスと心強い励ましのお言葉、研究室の皆様の温かいサポートを頂き、無事に提出できた時には、ほっとした気持ちと同時に大きな達成感がありました。

 御指導頂いた先生方を始め、関係していただいた皆様に深く感謝しております。

 

6)将来の勉学について

 現在のところ具体的には考えておりませんが、来月より日本赤十字社の嘱託職員として勤務させていただくことになりましたので、皇族としての務めを果たしながら、社会人としての自覚と責任を持って、少しでも社会のお役に立てるよう、公務と仕事の両立に努めていきたいと思っております。

 

フジテレビ,社会部