きょうのことば「GX」グリーントランスフォーメーション(24年3月17日 日本経済新聞電子版)

 

記事

 

(1)▽…二酸化炭素(CO2)など温暖化ガスの排出削減に向けて経済・社会活動を変えていく取り組み。

発電を化石燃料による火力から太陽光・風力といった再生可能エネルギーに転換したり、鉄鋼や化学など産業部門で高効率な製造技術を導入したりする。電気自動車(EV)への乗り換えや断熱窓を取り入れるといった暮らしの見直しも重要となる。

 

 

(2)▽…政府は2050年の温暖化ガスの実質排出ゼロに向けた戦略を盛り込んだGX推進法を23年に成立させた。

10年間で官民あわせて150兆円を超える投資を進め、国内企業の競争力強化との両立を狙う。財源として10年間で20兆円規模のGX経済移行債を発行し、民間投資の呼び水とする。

 

(3)▽…23年12月には分野別の投資戦略をまとめた。

GX債を活用した官民投資のうち、49兆円をEV導入や次世代航空機の開発など運輸部門にあてる。43兆円を薄型の太陽電池や洋上風力発電の開発、水素の普及といったエネルギー部門に投じる。

 

■GXとは?  NECソリューションイノベータ
 GXとは、Green Transformation(グリーントランスフォーメーション)の略称。

 温室効果ガスを発生させる化石燃料から太陽光発電、風力発電などのクリーンエネルギー中心へと転換し、経済社会システム全体を変革しようとする取り組みを指します。

 近年、地球温暖化による気候変動問題などへの対策として、世界各国では温室効果ガス排出量削減が喫緊の課題となっています。日本でも、政府が2050年までに温室効果ガス排出量を全体としてゼロの状態にする「カーボンニュートラル」を目指すと宣言しました。

 カーボンニュートラルを達成し脱炭素社会を実現するためには、数多くの企業による協力が必要です。日本政府や産業界はカーボンニュートラル達成に向けた動きを経済成長の機会と捉え、温室効果ガス排出量削減と産業競争力向上の両立を目指しています。

 

カーボンニュートラルとは

 カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させ、全体としてゼロになっている状態を表します。

 温室効果ガスの排出量を可能な限り削減するものの、ゼロにするのは難しい分野もあるため、森林などによる吸収や技術による除去を差し引き、実質ゼロ(ニュートラル)にするという計画です。2020年10月、菅義偉内閣総理大臣(当時)が「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」と宣言しています。

 

脱炭素とは

 脱炭素とは、温室効果ガスの中で大きな割合を占める二酸化炭素の排出量を削減し、実質ゼロにすることを意味します。

 二酸化炭素の排出量実質ゼロを目指す社会が「脱炭素社会」です。

 一方でカーボンニュートラルは、二酸化炭素も含めた温室効果ガス全体の排出量を実質ゼロにするのが目標となっています。世界共通の課題である地球温暖化対策のため、国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)のパリ協定などを機に、多くの国がカーボンニュートラル実現を目標に掲げました。世界154カ国・1地域(2021年11月時点)が、2050年までに「温室効果ガスの排出と吸収・除去の均衡の達成」、すなわちカーボンニュートラルを実現すると表明しています。