フランス憲法改正、中絶の自由明記 主要国で初(24年3月6日 日本経済新聞電子版)
記事【パリ=北松円香】
(1)(仏議会)
4日、女性の人工妊娠中絶の自由を明記する憲法改正案を可決した。
フランスでは今でも中絶は合法だが、憲法への明記で確実に女性の権利を保護する。
米国の一部州での中絶制限を受けてフランスの与野党の議員が憲法改正を求め、マクロン大統領も2023年3月に改正方針を表明していた。
(2)「中絶は「女性に保障された自由」」
パリ近郊のベルサイユ宮殿で開かれた上院と国民議会(下院)の合同会議で、憲法に中絶を「女性に保障された自由」だとする一文を追加する改正案が賛成780票、反対72票で可決した。改正に必要な5分の3以上の賛成票を大幅に上回った。
(3)
仏メディアによるとこれまでにも旧ユーゴスラビアなどが中絶の権利を憲法で保護したが、主要国で明記したのは初めてとみられる。「歴史的瞬間だ」。
(4)
議員や女性の権利推進団体は相次ぎ改正を称賛した。
パリのエッフェル塔近くのトロカデロ広場では合同会議の議論や投票の様子が大画面で中継された。投票結果が発表されると、広場に集まっていた多くの人が歓声を上げた。
中継を見つめていたソルさん(25)は「中絶の権利は突然奪われることもある」と憲法による保護の意義を指摘した。
出身国のアルゼンチンでは20年に議会が中絶合法化を決めたが、足元では再び違法化を目指す動きもある。フランス人のボーイフレンド、アレクサンドルさんも「女性の権利を支持することは大切だ」と述べた。