自民、「脱派閥」後の人材育成探る 若手・中堅向け勉強会 政治史や外交テーマに(24年3月5日 日本経済新聞電子版)

 

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写真 自民党中央政治大学院の遠藤学院長(右)らが中心となって勉強会を企画した(4日、党本部)

 

(1)自民党は4日、若手・中堅議員や次期衆院選の新人候補者を集めた勉強会を始めた。

党派閥の政治資金問題を受けて6派閥のうち安倍派など4派閥が解散を決めた。派閥が中心になっていた人材育成の機能を代替する。

 

(2)「中央政治大学院」

党組織の中央政治大学院(遠藤利明学院長)が勉強会を主催する。

同院は1957年に党員の資質向上や人材の発掘・育成のために設置した。近年は大学生ら党員以外に向けた講座にも力を入れていた。

(遠藤氏)

 「国家観を踏まえ、背骨にして(課題に)対処していく。政治とカネの問題で批判をいただくが、実現できるのは自民党しかない」と強調した。

現職と支部長で計94人が出席した。

 

(3)勉強会は6月までに7回開催する。4日は日本の近代史に詳しい斎藤健経済産業相が「政治家のための戦前史」と題して講演した。

次回以降は明治・大正期の政治家や1990年代の日米自動車交渉といった外交交渉の舞台裏などをテーマにする。

 

(4)衆院の当選4回以下、参院の当選2回以下の現職議員らを対象にする。

昨秋から勉強会の企画が始まり、派閥の解散決定を受けて支部長を参加対象に加えた。

 

■齋藤健 ウィキペディア

 

新宿区生まれ。駒場高校、東大経済学部

1983年4月、通商産業省(現経済産業省)に入省。資源エネルギー庁石油部流通課に配属。1991年、ハーバード大学ケネディ・スクールに留学し、修士号を取得した[4][6][7]。1994年、通商政策局米州課で日米間の自動車交渉を担当。

 

2013年、自民党農林部会長に就任した[4]。同部会長には農林族議員が就任するのが通例だったため、畑違いの通産省出身者の就任に注目が集まった。この人事は当時の政調会長である高市早苗の抜擢によるものであると、高市は自身のブログで記述している[12]。その後、

農協改革の法案作成段階においては、議論は紛糾に紛糾を重ねたが、2時間半の会議を8日間連続して開催するなどして何とか取りまとめることに成功した。このような手腕が評価されてか、異例の農林部会長留任が決まった。

 

農業

  • 人口減少で農産物の国内販売量が目減りする厳しい環境下において、農家の所得を確保する方策として、内需の縮小をカバーするための輸出の拡大と、流通・加工から付加価値を得る6次産業化が必要であると主張している。
  • 我が国の水田の壊滅を防ぐため、水田が果たす米の生産以外の役割(保水、防災、国土保全機能)にも着目し、加工米の生産を増やしていく。とりわけ家畜のエサとなる飼料米への生産シフトを進めていくことで、一定水準の水田の維持を図ることが農政改革の主要政策の一つであるとしている。
  • 農業の発展には、生産農家の情報武装やマーケティング能力が求められるのではとの記者からの問いに、「それは家族経営の農家では難しい。代わりに誰がやるか、ということを考えないといけない。やらないと、他の人が生産分野に出てきて、農家の利益が無くなってしまう。」と述べている。
  • 日本の農業の救世主は農水省ではなく、自民党でもなく、農協でもない。それは、消費者である。新鮮で、安全で、おいしい日本の農作物に対する消費者のニーズは間違いなく高まっており、農業は成長産業としての余地がある。だからこそ今、農家が消費者に対してアタックすることが重要であるとしている。
  • オランダを視察した際、農家の自主独立の精神と経営マインドといったカルチャーが根付いていることがオランダ農業の強みであるとの感想を述べている。例として、段ボールのデザインを挙げ、日本は農家や農協のニーズを重視している。しかし、欧州では消費者が求めているものを作り、それを農家が使うといったユーザーサイドに立った取り組みが行われているのだと述べている。
  • 欧州市場統合がオランダの農業の転機となり、生産者組合の誕生、青果市場の消滅、農業コンサルタントの活用、産官学の連携強化等の構造改革が行われた。これらが実行できたのは、農業関係者がしがらみに囚われず当たり前のことを当たり前に実行する精神がオランダにあったからだと分析している。

 

通商貿易

  • これまでの日本の貿易戦略は、過去のブロック経済が戦争の引き金になったとの反省から、機関 (WTO) 中心主義を貫いてきた。しかし、諸外国はWTOが機能不全とみるや同時並行的に2国間、地域アプローチを行ってきた。この潮流に出遅れた活路を見出したのがTPP。成長著しい太平洋地域11カ国で世界のGDPの4割を占める史上最大規模の経済地域ができあがる。同時に東アジア地域包括的経済連携(RCEP)、EUとの経済連携協定(EPA)。大戦略のもとで最も重要なものがTPPだと述べている。
  • イギリスがTPP11に興味を示していることについて「条件さえ満たせばウェルカム。イギリスの加入を機にアメリカがTPPに戻ってくる可能性もある。」と参入に寛容な姿勢を見せている。
  • 中国とTPP11の関係について、電子商取引の自由化などTPPのルールが世界中に広がることは中国への牽制になる。経済活動の自由化を進めるTPPの動きに水を差すようなことを中国がすればするほど、TPPの重要性は高まると述べた。
  • 世界秩序の安定のためにもアメリカのTPP復帰は必須だとの見解を示したうえで、アメリカが戻ってくる環境を整備するべきであると述べた。
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