「豚のぶった切り詐欺」被害、世界で11兆円以上-米大教授らが調査(24年3月1日 ブルームバーグ日本語電子版無料版)

 

記事(Zeke Faux)

 

(1)要点

  •     テキサス大学教授ら、4000人以上の被害者から暗号アドレスを収集
  •     犯罪者らは得た資金の大半をステーブルコイン「テザー」に換金か

 

(2)暗号資産(仮想通貨)を利用した「豚のぶった切り詐欺」の被害額は世界で750億ドル(約11兆円)余りに上っている可能性が高く、従来の推定をはるかに上回っていることが新たな研究で分かった。

豚のぶった切り詐欺は、畜産業者が食肉用に解体する前に豚を太らせる習慣にちなんで名付けられた詐欺。

  

(3)米テキサス大学オースティン校のジョン・グリフィン教授(金融学)と大学院生のケビン・メイ氏は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)以降に爆発的に拡大した詐欺の被害者4000人以上から暗号アドレスを収集。

ブロックチェーン追跡ツールを使い、被害者から主に東南アジアを拠点とする詐欺師への資金の流れを追った。

  

(4)2020年1月から24年2月までの4年間で、犯罪ネットワークは750億ドル以上を仮想通貨交換業者に移動させたとグリフィン氏は指摘。この中には他の犯罪行為で得た資金も含まれている可能性があるという。

金融市場における詐欺について執筆しているグリフィン氏は「これらは大規模な犯罪組織ネットワークであり、ほとんど無傷で運営されている」とインタビューで語った。

 

(5)

豚のぶった切り詐欺は、畜産業者が食肉用に解体する前に豚を太らせる習慣にちなんで名付けられた詐欺。

宛先間違いのテキストメッセージのように見えるものから始まるケースが多く、それに反応した人々は暗号資産投資に誘われる。

しかし、投資話はでっち上げで、被害者が一定の送金をすると、詐欺師は姿を消す。信じ難い話に聞こえるかもしれないが、日常的に数十万ドルから数百万ドルの被害が出ている。カンザス州のあるバンカーは最近、豚のぶった切り詐欺に関与し銀行から4710万ドルを横領したとして訴追された。