共通テスト新科目「情報Ⅰ」令和7年度スタート 実生活に直結するデジタル人材育成へ(24年2月22日 産経新聞オンライン無料版)

 

要点

(4)「大学入試センターが試作問題を公表 4つの大問とは」

大学入試センターで公表した試作問題。試験時間は60分、4つの大問(配点100点)で構成される。

第1問

 インターネット情報の信憑性を確かめる方法など情報技術の理解に焦点

第2問

 情報デザインの発想を問う

第3問

 プログラム作成、

第4問

 データ活用方法を考える問題

となっている。

(起点になる身近な課題)

 <買い物での上手な代金の払い方>

 <文化祭の模擬店の待ち状況を考える>

 <学業の時間と睡眠時間の相関>

など、身近な課題を起点に考察させる。

(解く過程)

 コンピューターの内部構造や

 ネットワークの仕組み、

 知的財産

といった知識も求められる。

プログラミング言語

 共通テスト独自の疑似言語が使われる。

 

記事(宮田奈津子)

 

写真 大学入学共通テストに臨む受験生。令和7年度からは「情報Ⅰ」が新科目として加わる(鴨志田拓海撮影)

 

(1)「代々木ゼミナールの教材開発担当者に聞く」

令和7年度の大学入学共通テストから、情報Ⅰが新たな出題科目としてスタートする。

国立大受験には原則として課され、多くの公立大や一部の私立大受験でも必要になる。

一方、新教科の追加は大学入試センター試験を含めて初となり、受験生をはじめ、予備校なども対策に試行錯誤している。

教材開発に取り組む代々木ゼミナール教材研究センター情報研究室の松田知泰室長に、情報Ⅰの特徴について聞いた。

 

問題解決に活用

 

(1)文部科学省では

 平成15年、高校の授業で情報を導入。

 平成25年からは学校によって情報通信技術と社会の関わりを学ぶ『社会と情報』、プログラミングなど情報処理技術を扱う『情報の科学』といった科目の一つを選択に。

 

(2)「社会状況の変化 モノがインターネットにつながる「IoT」や(AI)、ビッグデータ」

 令和4年から、デジタル人材育成を視野に2科目を統合した『情報Ⅰ』が必修科目に。

大学でも数理・データサイエンス・AIが教養教育として拡充され、大学入学共通テストに情報Ⅰが加わることになった。

 

(3)「新教科の狙い」

新科目は

 プログラミングや

 データ分析にとどまらず、

 問題解決や

 情報デザイン力

も重視する。

「パソコンやネットワークなどの仕組みが鮮明に見えてくる楽しみがあり、ほかの教科以上に実生活とつながっている」と松田室長は話す。

(背景)

文科省が新時代に必要な思考力・判断力・表現力などを掲げている。

(松田室長)

「問題発見から解決への道筋の立て方、社会への伝え方という流れも、入試だけでなく社会で求められる力。プログラミングなどは問題解決のための一つのツール」と指摘する。

 

身近な問題考察

 

(4)「大学入試センターが試作問題を公表 4つの大問とは」

実際にはどのような問題が出題されるのか。

大学入試センターでは試作問題を公表している。試験時間は60分、4つの大問(配点100点)で構成される。

第1問

 インターネット情報の信憑(しんぴょう)性を確かめる方法などを扱い、情報技術の理解に焦点を当てている。

第2問

 情報デザインの発想を問う。

第3問

 プログラム作成、

第4問

 データ活用方法を考える問題

となっている。

(起点になる身近な課題)

 <買い物での上手な代金の払い方>

 <文化祭の模擬店の待ち状況を考える>

 <学業の時間と睡眠時間の相関>

など、身近な課題を起点に考察させる。

(解く過程)

 コンピューターの内部構造や

 ネットワークの仕組み、

 知的財産

といった知識も求められる。

プログラミング言語

 共通テスト独自の疑似言語が使われる。

 

多角的視点の教材

 

(5)「先ずは知識や思考など普遍的な部分、そしてどんな問題にも対応できる良い問題を準備」(松田室長)

代ゼミでは、令和3年から松田室長らを中心に、数学や公民など教科横断型の情報研究室が始動。

教材開発のノウハウを引き継ぎながら、中高生向けのAI教育事業などの実績があるスキルアップNeXt(ネクスト)と協力し、模試問題作成に取り組んできた。

来年1月実施の大学入学共通テストに向け、高3や既卒生を対象に模試を実施していく予定だという。

 「過去問もなく、教材開発も未知の世界。難易度も数年はゆらぐことが想定される。しかし、実生活に結びついたおもしろい教科でもあり、まずは知識や思考など普遍的な部分を身につけてもらう。そして、どのような問題にも対応できるよう、多角的視点でより良い問題を準備して対策に活用してもらう」と話している。

(宮田奈津子)