東大が5年制新課程を創設へ、文理融合型で学部・修士一貫…27年秋入学(24年2月19日 読売新聞オンライン無料版)

 

記事

 

(1)「縦割りの学問領域では解決困難な地球規模の課題に解決策を導く人材育成」

世界水準の研究や人材育成を目指し、東京大学が2027年秋に新学部に相当する5年間一貫の教育課程を創設する方針を固めた。

医学から文学まで、東大が持つ教育・研究資源を最大限に活用した文理融合型の課程で、気候変動や生物多様性など、従来の縦割りの学問領域では解決が難しい地球規模の課題に対し、解決策を導くことができる人材を育てる。

 

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半数は留学生・全授業が英語

 

(2)「定員100名、うち半数が留学生」

新課程は、学部の4年間と大学院修士の1年間を合わせた5年制。

5年間で修士まで修了できる欧米の有力大を参考にした。

定員は1学年100人程度で、半数は海外からの留学生、残りは日本の高校卒業生らを想定する。

何をテーマに学ぶかは学生自身が決め、必要に応じて既存学部や大学院の授業も受講できる。

 

(3)例えば、脱炭素に向けた研究開発なら、自然科学の知見だけでなく、法律やビジネスなども横断的、体系的に学び、解決に向けた戦略や新たな価値の創造を目指す。

5年間のうち1年間は、留学や企業でのインターンシップ(就業体験)など、学外での学びを課す方向だ。

社会変革につながる多様なデザインを学ぶ場との意味を込めて、新課程の名称は「カレッジ・オブ・デザイン」とする。

 

(4)「秋入学、授業は英語」

世界中から優秀な学生を集めるため、欧米の大学で主流の秋入学とし、授業もすべて英語で行う。

性別や文化、経済的背景といった学生の多様性を重視し、従来の東大入試とは異なる選抜方法を検討している。東大は24年度中に新課程の入試概要を公表する方針だ。

 

(5)「新課程の教授陣」

既存学部との兼任に加え、優れた研究成果や実績を持つ民間企業の研究員や実務家のほか、東大独自の基金の運用益を活用し、海外からも一線級の研究者を 招聘(しょうへい)する。

 

(6)「既存学部の学生も新課程の授業を受講できる」

東大の既存学部の学生も新課程の授業を受講できるようにする。学部や専攻分野にとらわれない自由な学びの場を提供し、多様な学生が、相互に刺激し合えるキャンパスを創出する。

 

■慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科 ホームページ

 

現代社会の多種多様な問題の解決を図る 全体統合型学問

慶 應 義 塾 大 学 大 学 院システムデ ザイン・マネジメント 研 究 科 (慶應 SDM)

科学技術領域、社会領域、人間領域を問わず、 広く「システム」という共通の視座から問題解決に取り組 む 独立 大 学 院 で す。

現 代 社 会においては、さまざまなシステムが大規模・複雑化し、 数 々 の ト ラ ブ ル や 事 故 、 事 件 、 紛 争 を 引 き 起 こ し て い ま す 。そ う し た 問 題 を 解 決 す る た め に は 、部 分 に 特 化 す る 専 門 的 学 問 だけでは 不十 分 です。

システムの 全 体と部分 の関係を的 確に 分 析 し 、 解 決 策 を 創 造 的 に デ ザ イ ン し て 、着 実 に マ ネ ジ メ ン ト す る 全 体 統 合 型 の 学 問 = S D M 学( シ ス テ ム デ ザ イ ン ・ マ ネ ジ メ ン ト 学 )と そ の 実 践 が 求 め ら れ ま す 。 慶 應 S D M は そ う し た要請に応えるため、2008年に設立されました。

科 学 技 術 、環 境 問 題 、政 治 、安 全 保 障 、ビ ジ ネ ス 、組 織 、コ ミ ュ ニ テ ィ 、メ デ ィ ア 、 交 通 、教 育 、人 間 心 理 ... ... 慶 應 S D M で は 、環 境 共 生 、安 心・安 全 、最 先 端 技 術 、国 際 協 調 、危 機 管 理 と い っ た 社 会 の ニ ー ズ を 考 慮 し つ つ 、あ ら ゆ る 分 野 に つ い てシステムの観点から研究と問題解決を行っています。現 実世界の課題に挑み、未来を創るための研究と実践の場、 そ れ が 慶 應 S D M で す 。

 

システムズエンジニアリングと デザイン思考の融合

  慶應SDMの問題解決手法には大きく2つの柱があります。

 1)「 シ ス テ ム ズ エ ン ジ ニ ア リ ン グ 」。

も と も と は 航 空 宇 宙 機 器 や 軍 事 シ ス テ ム な ど の 大 規 模 シ ス テ ム を 、多 数 の ス タ ッ フ に より着実 なステップを踏 みながら作りあげることを目的とし て 発 展 し ま し た 。そ の 後 、都 市 、経 営 、医 療 、イ ン タ ー ネ ッ ト な ど に も 応 用 さ れ 、社 会 領 域 も 取 り 扱 う よ う に な り ま し た 。

2 )「 デ ザ イ ン 思 考 」。

モ ノ づ く り を し な が ら 自 由 に 発 想 を 広 げ て い く 開 発 手 法 で 、フ ィ ー ル ド ワ ー ク や ブ レ ー ン ス ト ー ミ ン グ 、プ ロ ト タ イ プ を 使 っ た ワ ー ク シ ョ ッ プ な ど を 通 じ て 参 加者のクリエイティビティを引き出すことを重視します。

 

従 来 、シ ス テ ム ズ エ ン ジ ニ ア リ ン グ と デ ザ イ ン 思 考 で は 考 え 方 が 相 反 す る と 思 わ れ て き ま し た 。し か し 、シ ス テ ム ズ エ ン ジ ニ ア リ ン グ だ け で は ユ ー ザ ー と の 共 感 や クリ エ イ テ ィ ビ テ ィ の 飛 躍 が 難 し く 、デ ザ イ ン 思 考 だ け で は シ ス テ マ テ ィ ッ ク に 具 現化する面が不十分です。

慶應SDMでは両者を組み合わせ る こ と に よ っ て 大 き な メ リ ット が 得 ら れ る と 考 え 、両 者 を 補 完 し 統 合 す る 開 発 手 法 を 構 築 し ま し た 。日 本 は も ち ろ ん 、 世 界 でも先 進 的 な 取り組みです。

 

大きな構想を描き、 世界をリードしていく人材を育てる

 

慶應SDMでは、全体統合型の解決策を提案しながらミクロ のレベルまで解決策を精緻化できるシステムズデザイナー や プ ロ ジ ェ ク ト リ ー ダ ー の 育 成 を 図 っ て い ま す 。現 実 世 界 の 課題に対して大きな構想を描き、さまざまなステークホル ダ ー と の 調 整 を 行 い な が ら シ ス テ ム を 創 っ て い く に は 、S D M 学をマスターするとともに多くのスキルを身につける必要 が あ り ま す 。エ ン ジ ニ ア リ ン グ 力 、 問 題 発 掘 力 、 創 造 力 、 統 合力、コミュニケーション力、マネジメント力。こうした能 力を備え、世界をリードしていく次世代リーダーを輩出す る た め に 、慶 應 S D M で は 多 様 な プ ロ グ ラ ム を 用 意 し て い ま す 。

 

教育課程の編成・実施方針 (カリキュラム・ポリシー)

 

修士課程

 コア科目として、戦略的システムエンジニア リングの方法とコミュニケーションスキルを含めた総合的な マネジメント能力を習得し、“実学” の科目「デザインプロジェ クト」に取り組んでもらいます。このほかに世界的な広い視 野を獲得していただくための様々な科目が用意されています。 

修士課程(システムエンジニアリング学)

 主として技 術システムのデザインに関わる分野について、2 年間(標準) にわたり研究に取り組み、その成果を国内外で発表するな どして、修士論文としてまとめます。

修士課程(システムデ ザイン・マネジメント学)

 主として社会システムの問題解決に関わる分野について、2 年間(標準)にわたり研究に 取り組み、修士論文としてまとめます。

博士課程

 各自の必要な科目(特にコア科目等)を学ぶ ために修士課程の科目を受講することが可能となっていま す。

博士課程(システムエンジニアリング学)

 主として 技術システムのデザインに関わる分野について、3 年間(標 準)にわたり研究に取り組み、その成果を国内外での発表を 通じて外部の専門家からの評価も得ながら、博士論文とし てまとめます。

博士課程(システムデザイン・マネジメント 学)

 主として社会システムの問題解決に関わる分野に ついて、3 年間(標準)にわたり研究に取り組み、その成果を 国内外での発表を通じて外部の専門家からの評価も得なが ら、博士論文としてまとめます。

どの学位においても、SDM 研究科は MIT 、Montclair State University 、TU Delft 、INSA 、Politecnico di Milano などと の連携により、日本にいながら、海外の著名教授陣の講義を 受講できます。また、これらの大学とは積極的に交換留学 をおこなっています。SDM 研究科が対象とする問題は大変 幅広いので、様々な関係者の指導を仰ぎながら研究を実施し、 論文としてまとめて行きます。