高校で「1人1台」のタブレット端末、中国製1万6500台の半数に不具合…新学期に間に合わず(24年2月16日 読売新聞オンライン無料版)

 

記事

 

(1)「1人1台端末」として県立高校の生徒が使用しているタブレット端末に故障が相次いでいる問題で、徳島県は13日、代替機を配備できる時期が一部の学校で夏休み前にずれ込むとの見通しを示した。

これまで「新年度が始まる4月までに各校へ届けることが可能」としていたが、新たに電源関係のトラブルが生じた端末が相次いで報告され、追加発注が必要になるためという。(吉田誠一)

 

写真 バッテリー異常などトラブルが起きているタブレット端末(徳島市で)

 

(2)「徳島県の教育DX加速化委員会」

県幹部や小学校長、NTT西日本徳島支店の関係者らで構成する県の「教育DX加速化委員会」の緊急会議がこの日、県庁で開かれ、県と県教育委員会が報告した。

 

(3)(県教委)

県立高校など29校に配備した中国の電子機器メーカー・ツーウェイ社製のタブレット端末計1万6500台について、各校から週1回、新たな故障台数やその内容の報告を受けている。

先月下旬に「バッテリーの持続時間が短い」など電源関係のトラブルを訴える内容が増えたため、駆動時間不足を新たな調査項目に加え、過去分を含めて調査した。

 1)先月以降、毎週82~289台のペースで増えていた故障・不足台数は、今月5日現在で、1226台に急増。

  ▽故障

  ▽バッテリー膨張などで使用を中止

  ▽駆動時間が1時間未満――

 を足した台数は計8470台となり、全端末の半数にのぼった。

 2)県教委は、修理により使用できるケースがあるとしつつ、今後も故障や駆動時間の問題が生じる端末が増える可能性があり、「最終的な不足数は見通せない」と説明した。

 

(4)「できるだけ早く、安全でしっかりとした端末を提供する」との後藤田知事の方針を受け、県は県教委に代わって、代替機の確保を進めてきた。

 

(5)「代替機をリース方式で調達」

6500台の代替機をリース方式で調達する費用7200万円を盛り込んだ補正予算案が昨年11月の県議会で可決した。

県は故障の報告が多い学校用に500台を調達済みで、近く3000台の入札を予定。

加えて県教委に全端末を納入した四電工徳島支店から、3500台の無償貸与を受け、年度内に計7000台の確保を目指していたが、新たなトラブルが判明したことで不足を解消することは難しくなった。

 

(6)「各校への配備は7月頃にずれ込む」

2024年度に調達が必要な端末は従来より1000台多い4000台となり、各校への配備は7月頃にずれ込むという。

加速化委員会でトップを務める伊藤大輔副知事は会議で「一刻も早く『1人1台』に戻せるよう整備を進める」と強調した。

 

 

■学費は無料!「テクノロジー×デザイン×起業家精神」神山まるごと高専が来春開校

EduA   2022.09.14

 

記事(葉山梢)

 

徳島県の小さな町に来春、全く新しい学校が誕生する。テクノロジーとデザインを学びながら、起業家精神も育む「神山まるごと高専」。学費は企業からの出資金の運用益でまかない、学生の負担は無料とする方針だ。(画像は平屋建て校舎の完成予想図=同校提供)

活躍中の起業家と毎週交流

「高専として19年ぶりの認可ということもあるし、他に学校法人があって高専を作るのではなく、学校法人の設立と私立高専自体の設立を同時に行うという類を見ないことだった」。2019年の構想発表から3年。今年9月6日に徳島県神山町の神山町役場で開かれた開校決定報告の記者会見で、寺田親弘理事長は新しい高専について晴れやかな表情で語った。

寺田理事長はクラウド名刺管理サービス会社「Sansan」の創業社長。「起業家として活動する中で使う知識に、学校で習ったものはほぼない。教育の内側でもっとやれることがあるのではないかという気持ちがあった」と振り返る。起業家にとって大切なのは「起業家精神」といった精神的なものだけでなく、実際に「ものを作る力」だという。「高専なら集中的なカリキュラム設計ができ、フリースクールとは違って大学への編入もできる。これまでにない学校になる」

写真 神山町役場で開かれた記者会見。左から2番目が寺田理事長=生津勝隆撮影、神山まるごと高専提供

 

同校のコンセプトは「テクノロジー×デザインで人間の未来を変える学校」。ソフトウェアやAIなどのテクノロジー、外観やアートなどのデザインに加え、会社を作るための知識や仲間とのチームワークを学ぶための科目も設定する。起業家講師としてDeNAの南場智子会長、星野リゾートの星野佳路代表ら50人以上が名を連ね、毎週水曜夜に交流する機会を設けるという。寺田理事長は「活躍している起業家も実は普通の人だということを、体感してもらいたい」とねらいを語る。卒業後は3割が就職、3割が大学編入、4割が起業を目指せるようにする。

1学年40人の5年制。建築中の校舎は平屋建てで、同町の木材を使用。全寮制で、町が提供した古い中学校の校舎を改装して寮とする。異学年の6人でユニットを作り、共同生活のルールも自分たちで作ることで問題解決力を養う。給食も地元産の食材が中心になるという。(以下省略)

 

■起業家目指す高専開校 全寮制、学費無償化―徳島

2023年04月03日07時04分配信 jiji.com

 

写真 新設の高等専門学校「神山まるごと高専」の入学式であいさつする学校法人の寺田親弘理事長(右奥)=2日午後、徳島県神山町

 

 自らの力で社会を切り開く起業家らの育成を目指す新設の私立高等専門学校「神山まるごと高専」(徳島県神山町)で2日、入学式が開かれた。学校法人の寺田親弘理事長は開校宣言で、新入生44人を前に「モノをつくる力でコトを起こす。そういう人物が巣立っていく光景を見たい」とあいさつした。私立の高等専門学校は全国で4校目。

「いい大学からいい会社」はもう古い?起業サークル活況、ベンチャーへの道

 県中部の山間域にある神山町は光ファイバー回線が全域に整備されており、テレワーク拠点としてサテライトオフィスを開設したIT系企業などの経営者らが中心となって学校法人を設立。「日本の田舎にシリコンバレーのような場所をつくろう」と同校を開設した。

 全寮制で、学生は自然豊かな環境で5年間生活しながら、プログラミングなど最先端の技術や、起業家精神などを「まるごと学べる」のが特徴という。

 また、ソニーグループやソフトバンクなど計11社から募った100億円で基金を設立。運用益で奨学金を給付し、年間200万円の学費を実質無償化する。学生の世帯年収に応じて、入学金や寮費も一部免除する。

 1期生には40都道府県と海外から約400人が受験し、倍率は9.1倍だった。北海道出身の江田岬毅さん(15)は「人の役に立てる会社を作りたい。プログラミングはやったことないので楽しみ」と話した。