「NATO防衛義務守らぬ」トランプ氏発言、事務総長批判 「安保損なう」(24年2月14日 日本経済新聞電子版)

 

記事

 

(1)トランプ前米大統領が北大西洋条約機構(NATO)の防衛義務を順守しない可能性に言及したことに対する波紋が広がっている。

NATOのストルテンベルグ事務総長は11日の声明で、「同盟参加国が互いに防衛しないと示唆することは、米国を含む全加盟国の安全保障を損なう」と批判した。

ストルテンベルグ氏は「NATOに対するいかなる攻撃にも、団結した強力な措置がとられるだろう」と強調した。

 

(2)(ドイツのショルツ首相)

12日の記者会見で前大統領の発言を念頭に「無責任で危険なことだ」と訴えた。「誰も欧州の安全保障をもてあそんだり、駆け引きに使ったりしてはならない」と述べた。

 

(3)(NATOは北大西洋条約第5条)

1つの加盟国への攻撃をNATO全体への攻撃とみなす。

(トランプ前大統領)

10日、自国の防衛費を国内総生産(GDP)比2%以上にする目標が未達の加盟国を念頭に「ロシアが望むことを何でもするよう奨励する」と主張した。

NATOが2023年に発表した推計では23年に2%を超えるのは約3分の1の11カ国にとどまる見通し。フランス、ドイツ、トルコなどが未達だ。

 

(4)こうした中、オースティン米国防長官やヒックス副長官は15日のNATO国防相理事会を欠席する。前大統領が欧州防衛に関与しないシナリオに言及するなか、米欧の結束に影響しかねない。