足りぬカカオ豆 争奪戦 最高値、バレンタイン直撃(24年2月9日 日本経済新聞電子版)

 

記事

 

(1)要点

バレンタインデーが近づく中、チョコレートの原材料価格の高騰が止まらない。

主要原材料であるカカオ豆の国際価格は足元で過去最高値を更新。主要生産国で発生した天候不順の影響はあるが、それだけではない。旺盛なチョコレート需要が根底にある。原材料の争奪戦が熱を帯びるなか、目先は歴史的な高値圏を保ちそうだ。

 

 

(2)カカオ豆の国際価格指標で

 1)主に中南米産を扱うニューヨーク先物(第2限月)は7日に一時1トン5275ドルをつけ、3日連続で最高値を更新した。

2023年初めより約2倍に値上がりした。

 2)主にアフリカ産を扱うロンドン先物(第2限月)も7日に最高値を更新した。

 

(3)主因のひとつは天候不順を受けた供給減少だ。

世界1位と2位の生産国であるコートジボワールとガーナでは、23年上半期に大雨や洪水が発生し、農園の一部が浸水する被害が出た。肥料が流されたり、病害がまん延したりするなど生育状況が悪化している。

 

(4)価格はあまり気にせずチョコレートに対するニーズが旺盛

「価格はあまり気にせず、普段目にかかれない特別な商品を購入した。友人同士でシェアするのが楽しみ」。伊勢丹新宿本店(東京・新宿)が1月中旬より開催する催事でチョコを買った40代女性はこう語る。

 

 

(5)カカオ豆の高騰を背景に、商品価格はかつてないほど高い。

(帝国データバンクが7日公表した調査)

24年におけるバレンタイン向けチョコレートの1粒あたり平均価格は395円(前年から4.5%上昇)

(同社担当者)

「カカオ豆高と砂糖高、円安の三重苦に加え、包装資材費や輸送費なども大幅に値上がりしている」と解説する。

 

(6)投機マネーの流入も価格上昇に拍車をかける。

米商品先物取引委員会(CFTC)によると、投機筋からなる非商業部門のニューヨークカカオ豆の買い越し幅は、1月30日時点で7万1694枚(枚は取引単位)と23年1月末から約3倍に膨らんでいる。

 

(浜野航)