少子化支援金、首相「1人あたり月500円弱負担」 医療保険料に上乗せ 歳出改革・賃上げ推進(24年2月7日 日本経済新聞電子版)
記事
(1)要点
岸田文雄首相は6日、少子化財源確保のために医療保険料に上乗せする新たな「支援金制度」の負担額が平均で1人当たり月500円弱になるとの見通しを表明した。実質的な負担増にならないとも強調した。個人ごとにみると負担は首相の説明通りにならない場合もある。
写真 岸田首相は「実質的な負担増にならない」と説明する(6日午前)
(2)政府は2024年度からの3年間で年3.6兆円の予算を確保して、児童手当の増額など少子化対策の充実に充当する。その財源のうち1兆円を「支援金制度」で賄う。
(3)首相は6日の衆院予算委員会で「粗い試算」として「支援金の総額を1兆円と想定すると、28年度の拠出額は加入者1人当たり月平均500円弱となると見込まれている」と語った。これまで1人当たりの負担水準を明らかにしていなかった。立憲民主党の早稲田夕季氏に答弁した。
(4)実際の1人当たりの負担額は個人ごとに差が出る。
会社員らが加入する健康保険組合では定率で保険料を上乗せして支援金を集める見通し。加入する健康保険組合や年収によって個人の負担額は変わる公算が大きい。
(5)たとえば、22年度の医療保険料率は中小企業が主な対象となる全国健康保険協会(協会けんぽ)は平均で10%。大企業が中心の健康保険組合連合会(健保連)は9.26%と異なる。被保険者の平均年収も21年度時点で協会けんぽ272万円、健保連は408万円と差がある。
(6)(日本総研の西沢和彦理事の試算)
医療保険の加入者(家族を含む)1人あたりの支援金の平均額
1)協会けんぽでは月638円となる。
2)健保組合は月851円、
3)後期高齢者医療制度で月253円になるという。
所得が高い人はこの負担額がさらに増える。
(7)予算委では野党から「組合の種類や所得によって、(支援金の負担額が)上がっていくということを言わないと不誠実だ」との批判が出た。
(8)首相は支援金を導入しても、社会保障分野の国民負担率を上げない方針を示す。
「社会保障分野の国民負担率を上げない根拠」
1)社会保障の歳出改革で保険料の伸びを抑え、
2)今春以降の賃上げにより負担率の分母が増える
との訴えだ。6日の予算委でも「実質的な負担は全体として生じない」と語った。
(9)その実現は見通せない。
「歳出改革」
政府が23年12月にまとめた28年度までの工程表で早くもほころびが見えてる。
1)介護保険サービスを利用した際の自己負担
政府は24年度から2割負担の対象者を広げる方針だった。現行は原則1割となっている。対象拡大は自民党などの反発を受けて、27年度以降に先延ばしとなった。
2)賃上げ頼みの仕組み
国民民主党の玉木雄一郎代表は6日の予算委で「賃上げはどれくらいを見越しているのか」と首相に問いただした。
仮に歳出改革が計画通りに進んでも、賃上げが実施されない企業で働く人は支援金の実質負担が発生するケースがあり得る。
(10)(日本総研の西沢氏)
「実質的な負担は生じないという説明は誤解を生む。『500円弱』の数字が独り歩きする説明では国民の理解が得にくいのでは」と指摘する。
<私見:
各省庁官僚が天下る関連団体への補助金が、政府から毎年多額が支出されてる。その補助金に基づく資産があるといわれます。その資産を売却すれば1兆円は出るはず。そして次年度からその補助金相当額を少子化支援金にまわせばいかが?
有能な官僚なら、民間企業から曳き手あまた。そうでないなら年金生活でいいじゃないか>
<何でもかんでも現役世代にたかるようなことでは、若者が「子どもも年寄りも嫌いだ」「子どもなんか産みたくない」「結婚なんかしたくねー」と叫び出すのは目に見えている>