「主権を現場に戻す」トヨタの豊田会長が掲げる新ビジョンの狙い 米大規模リコールの教訓(24年1月31日 産経新聞オンライン無料版)

 

記事(池田 昇

 

(1)要点

「主権を現場と商品に戻す」。

トヨタ自動車の豊田章男会長が30日の記者会見でこう説明して打ち出したグループビジョンは、グループ内で不正が相次ぐ中、創業の原点を取り戻すための羅針盤の意味を持つ。

トヨタにとって今回の問題は14年前に米国で発生した大規模リコール問題に続く2度目のガバナンス(企業統治)危機で、組織の改革を急ぐ。

 

失われた「現地現物」

 

(2)ダイハツ工業や日野自動車、そしてトヨタの源流の豊田自動織機などグループ企業で相次いだ不正問題では、共通して無理な開発日程や認証試験関連の人員不足などの課題を経営層が把握できず、トヨタのものづくりの原点である経営課題を現場で吸い上げ、問題があれば立ち止まって改善する「現地現物」が失われていた。

(以下有料記事)

 

<私見:

ドイツの産業革命4.0で、インターネット(IoT)や生産の自動化(FactoryAutomation)技術を駆使し、工場内外のモノやサービスと連携するとうたわれた。いつも、わが国は米国の1周遅れといわれたが、IoTでも遅れているから、製造業ははやくIoTをやるべきと煽られていた>

 

■ドイツのインダストリー4.0(第四次産業革命)  「次世代製造技術の研究開発 ドイツ編」平成 27 年 1 月国立研究開発法人科学技術振興機構

https://www.jst.go.jp/crds/pdf/2014/FU/DE20150108.pdf

(研究開発戦略センター 海外動向ユニット フェロー 澤田 朋子)

 

Industrie4.0 はもののインターネット(Internet of Things: IoT)や生産の自動化(Factory

Automation)技術を駆使し、工場内外のモノやサービスと連携することで、今までにない価値や、新しいビジネスモデルの創出を狙った次世代製造業のコンセプトである。

 

現代の製造業が直面している課題は、主に生産性、スピード、柔軟性であり、Industrie4.0 を実現することによってこれらを克服し、このための技術開発や産業構造の変化を推進する。Industrie4.0 の実現には、製品設計や生産設備設計、生産、メンテナンスに至るバリューチェーン全体を網羅した、多種多様な ICT 基盤が必要になる。

 

2.1 政策策定の経緯

 

ドイツで初めて制定された科学技術イノベーション基本政策の「ハイテク戦略」は、個人、企

業、社会が継続的にイノベーションを興すことができるような環境を整備することを目的に 2006

年に発表された。

2010 年に第二次となる「ハイテク戦略 20209」が制定された。

先の戦略と異なる部分は、社会的課題、グローバルな問題の解決を図るために、ニーズ型の

政策になっている点である。

「ハイテク戦略 2020」で抽出された重点分野は、環境・エネルギー、健康・食糧、輸送、安全、通信の 5 つで、課題の解決のために 10 項目の

「未来プロジェクト」というアクションプランが 2011 年までに順次発表された。

そのうちの一つがIndustrie4.0 である。

 

2.2 Industrie4.0 の定義

Industrie4.0 とは、第四次産業革命の意である。

第一次革命は 18 世紀の蒸気機関による機械的な生産設備の導入、

 第二次産業革命は 19 世紀後半の電気による大量生産を指すことは

 第三次以降はドイツ政府の見解は、70年代のコンピューターによる生産の制御。

現在人類は第四次産業革命の端緒に立つと位置づけ、ドイツはその中でイニシアティブを取ることを目指している。

(以下省略)