国産量子コンピューターの「次の一手」 中村泰信・理研量子コンピュータ研究センター長に聞く(24年1月28日 産経新聞オンライン無料版)

 

記事(松田 麻希)

 

写真 2023年3月に稼働した国産初の量子コンピューター=埼玉県和光市の理化学研究所(酒巻俊介撮影)

 

(1)序「理研は昨年、相次いで3台の国産機を稼働させた」

私たちの日常感覚からはかけ離れた量子物理の原理を用いて、現在のスーパーコンピューターにも不可能な計算を行い、社会の課題を解いてくれると期待される次世代計算基盤、量子コンピューター。

世界で開発競争が激化する中、日本の量子コンピューター研究を牽引(けんいん)する理化学研究所は昨年、相次いで3台の国産機を稼働させた。

2024年、注目される次の一手はどうなるのか。

(理研の量子コンピュータ研究センター長、中村泰信氏)に聞いた。

 

まだまだ通過点

 

(2)理研・量子コンピュータ研究センターは昨年3月、富士通などと共同開発した国産初号機となる量子コンピューターをクラウド公開した。

10月には初号機をベースにした2号機も稼働。

初号機

 主に大学や研究機関による研究利用向け

2号機

 量子計算の応用アプリケーション開発を目指す企業向け

という位置付けだ。

富士フイルムや東京エレクトロンなどの企業が材料開発や金融工学、データサイエンスへの応用を念頭に共同研究に加わっている。

さらに12月、大阪大と理研などの研究チームが、阪大に3号機を設置し、稼働させた。(以下有料記事)