ドイツ全土で農家らが抗議デモ 首都まひ状態、極右支持拡大(24年1月16日 newsYahoo! CNN.co.jp)

 

記事(ドイツ・ベルリン(CNN))

 

(1)ドイツのベルリンで増税や補助金カットに抗議する農家の大規模デモが1週間にわたって続き、首都はほぼまひ状態に陥っている。

 

リンク【画像】「ドイツのための選択肢(AfD)」の横断幕を付けたデモ参加者のトラック

 

(2)「農業従事者と運輸業界が連携して首都に進軍」

ベルリンのブランデンブルク門前の道路は15日、トラックやトラクターで埋め尽くされた。

警察によると、農業従事者1万人以上が運輸業界と連携して首都に詰めかけている。

この1週間は毎日、夜明けの厳しい冷え込みの中でブランデンブルク門前に最大500台のトラクターが並んだ。農業従事者らはたき火や温かい飲料で暖を取っていた。

 

(3)「極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が混乱に乗じて支持を伸ばす」

ドイツでは全土でほかにも複数のデモが計画されている。

オラフ・ショルツ首相率いる連立政権が危機的な状態に陥った予算の建て直しに苦慮する中、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が混乱に乗じて支持を伸ばしている。

 

(4)大規模な道路の封鎖はハンブルク、ケルン、ブレーメン、ニュルンベルク、ミュンヘンなど東西の各都市にも及び、それぞれ2000台ものトラクターが集結した。

トラクターやトラックの車列は抗議の横断幕を掲げるなどして早朝から道路を封鎖した。

郊外の高速道路も抗議デモの標的となり、通行に大きな支障が出ている。

 

(5)「政府の緊縮財政計画に対して不満」

農家は政府が打ち出した農業に対する税制優遇縮小の緊縮財政計画に対して不満を募らせている。

15日には「皆さんの声に耳を傾けます」と訴えようとしたクリスティアン・リントナー財相に対し、デモ隊がブーイングを浴びせた。

農業組合の会長が割って入り、リントナー財相の話を聞くよう促す場面もあった。

 

(6)CNNの取材に応じたデモ参加者は、新しい経済対策によって廃業に追い込まれると訴えた。

(ベルリンのデモに参加したマルティンさん)

 リューゲンで農業を営んでおり「この国の新しい選挙に向けた抗議のためにやって来た。我々の政府には問題がある」「政府は我々の声に耳を傾けず、農家だけでなくこの国の誰もが傷つく規制をつくっている。もうたくさんだ」と語気を強めた。

(政府)

 昨年12月、2024年予算案に対する予想外の変更をめぐって反発を浴びた。

 1月4日には補助金削減の計画を一部修正したが、農家はそれでも不十分だとして完全撤回を求めている。

 

(7)今回の抗議デモでは、極右政党AfDが存在感を強めている。

トラクターに「農家ファースト」「ドイツは新しい選挙が必要だ」などの文字が入ったAfDのポスターを貼ったり、AfDのベストを着けて車の前に立ったりする極右支持者もいた。

AfDの公式フェイスブックは抗議デモの写真を共有し、連帯のメッセージを投稿している。

 

(8)SNSに投稿されたベルリンの集会の写真には、AfDと共に極右集団「第3の道」などのメンバーも写っていた。

ドレスデンで撮影された映像では、極右政党「自由ザクセン」の旗を掲げた集団と警官隊が衝突していた。

 

(9)ショルツ首相は全土で続く抗議デモに対応できていない。

11日にコットブス市で行われた新鉄道整備場の落成式に出席した首相は、デモ隊の激しい反発に遭った。

首相は対話を拒み、式典の演説でも抗議デモには直接言及しなかった。

そうした姿勢に対し、政府が自分たちの声に耳を傾けないと訴える農家などは一層怒りを募らせている。

 

<私見:

EU諸国が失業増加で苦しんでいる中、ひとりドイツだけが輸出好調で「均衡財政」を維持した。また、EUには政府の赤字はGDPの3%以内に抑えるという規律があり、各国は財政出動ができなかった。コロナではそれをやるようになった、ドイツはロシアに依存するエネルギーなどのインフレもあって、生活は苦しい。しかし、政府は財政緩和をやらない>