きょうのことば「確定拠出年金」運用成績で受取額変化(24年1月15日 日本経済新聞電子版)

 

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(1)▽…老後の生活を支える年金のうち、国民年金(基礎年金)や会社員が加入する厚生年金に上乗せする3階部分にあたる私的年金のひとつ。

あらかじめ企業が社員に給付額を約束して運用する確定給付型(DB)と異なり確定拠出型(DC)は企業が拠出する掛け金をどの金融商品で運用するか加入者である社員が決める。運用成績に応じて将来受け取れる年金額も変わる。

 

 

(2)▽…2001年から制度が始まり、企業の年金制度維持負担や転職の増加を背景に利用が拡大。<企業年金は企業の退職金を全部、年金にする場合と、退職金の一部的代替をするものとがあった。もともと福利厚生として在職中に退職後の年金額を決めておく「確定給付年金」を使う企業が多かった。しかし、バブル崩壊以降の業績低迷で賃金が上がらず保険料収入は増えなかった。しかし、新規雇用を減らしたため社員の年齢構成が高齢化し、約束した年金を支給するために企業の負担が大きくなり、決算にも悪影響が出るよになった。そこであらかじめ保険料だけ決めておく確定拠出年金への移行が増えた>。

23年3月末時点の加入者は805万人、運用残高は約19兆円に達する。掛け金を企業が払う企業型に対して個人が支払う個人型はiDeCo(イデコ)と呼ばれる。

 

(3)▽…物価が上がらなかった時代は元本確保型の定期預金や保険商品を運用先に選ぶ傾向が強かった。物価上昇局面では預貯金は目減りするため、一定のリスクをとって運用利回りを求める動きが徐々に出てきた。公的年金は保険料を支払う現役世代の減少で支給額の低下が避けられず、補完的な役割を果たす私的年金の重みが増している。