仏新首相に34歳のアタル氏 マクロン氏、内閣改造へ(24年1月10日 産経新聞オンライン無料版)

 

写真 ガブリエル・アタル氏=2018年10月(ロイター=共同)

 

記事【パリ=板東和正】

 

(1)要点

フランス大統領府は8日、ボルヌ首相(62)の辞任を発表した。

移民の受け入れを厳格化する移民法の成立が難航するなど政権の求心力が低下しており、マクロン大統領は内閣改造を進めているとみられる。

夏場にかけて欧州議会選やパリ五輪が控えており、マクロン氏が政権運営に弾みをつけられるかが焦点だ。

(2)(欧州メディア)

 ボルヌ氏の後任にはアタル国民教育相(34)が任命された。フランス近代史上最年少の首相となる。

「ボルヌ氏」

 2017年、マクロン政権発足とともに交通担当相となり、労働相などを歴任。

 22年5月に2期目を迎えた同政権で首相に任命された。フランスの女性首相は歴代2人目だった。

「首相の役割」

 大統領の政策を法制化に導く役割を担う。

 

(3)「与党連合の下院議席が過半数割れで議会対応に苦慮、強権発動で年金改革」

22年6月の国民議会(下院)選で与党連合の議席が過半数割れし、ボルヌ氏は重要法案の審議で議会対応に苦慮していた。昨年3月には年金受給開始年齢を引き上げる年金改革法案で議会工作に失敗し、強権発動を余儀なくされた。

12月には、移民法案が国民議会で一度否決された。法案の内容を修正し、極右「国民連合」の賛成を得てかろうじて成立に至った。

 

(4)法案成立を強行する政権の対応は反発を呼び、年金改革反対のデモが発生。

マクロン氏が内閣改造に踏み切るとの見方が広がる中、ボルヌ氏はこれに先だって辞任し、混乱を引き起こした責任をとったとみられる。