【解説】真冬の避難生活3万4000人超 私たちにできる支援は…(24年1月5日 newsYahoo! 日テレNEWS NNN)

 

記事の概要

(2)「輪島市 毎日、3万食、水500ミリリットル5万本が必要」

(3)「多数の自治体ガ被災し、幹線道路が使えず津波で海のルートも使えず空港も被災した」

(4)「よその自治体からの支援を」

  (ア)「直接搬入や個人からの搬入支援はまだ受入態勢がない」

  (イ)「被災地の自治体職員では限界。よその自治体が被災地で支援して」

  (ウ)「防災協定ができているところは現地へ入り支援している」

  (エ)「被災経験のある自治体職員は応急危険度判定や生活再建の支援」

(5)冬場の避難生活の留意点

  (ア)「段ボールベッドなど被災地に持ち込み避難所の環境をより良くすること」

(6)「避難疎開に国の支援を」

  (ア)「避難疎開が必要」

(7)「車中泊」

  (ア)「車中泊をする場合は必ず1時間に1回は運動をする」

  (イ)「発電設備や練炭は室外に置いて」

 

記事

 

(1)序

能登半島地震発生から4日目を迎えています。東京大学大学院の客員教授で、防災の専門家・松尾一郎さんとお伝えします。

 

リンク 【画像】迫る72時間…能登半島地震 被災地は今<藤井キャスター報告>

 

■石川県の避難状況…水や食料が足りない

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(2)「輪島市 毎日、3万食、水500ミリリットル5万本が必要」

(鈴江奈々キャスター)

「地震発生から4日目となり避難されている方は、石川県によりますと、県全体で3万4000人を超えている。

被災した地域では水や食料など様々な物資が不足しているという声が聞かれます」

「輪島市

徐々に支援物資が届いていますが、3日夜の時点で避難者1万1000人を超える人数に対して3000食しか食料が届いていない。

毎日、3万食、水500ミリリットル5万本が必要ということです。

なかなか支援の手、救助の手がなかなか届かない状況も見られます。なぜ今、このような状況になっているのでしょうか」

 

(3)「多数の自治体ガ被災し、幹線道路が使えず津波で海のルートも使えず空港も被災した」

(東京大学大学院・客員教授 松尾一郎氏)

「やはりマグニチュード7.6という大きめの地震と津波であった。

そのために、

 広範囲で自治体が被災しました。

  揺れ 幹線道路が使えなくなった。

  津波 海のルートも使えなくなった。

  空港も被災している。

また2日の羽田の事故も大きく影響を与えていると思います」

 

「(国土交通大臣)

3日の会見で、

 被災地の重要なトラック等、輸送含む道路の啓開を4日中に終わらせるという意思を伝えた。

加えて自衛隊はヘリで行けるはず。

数千人(現地に)入っているということだ。

国民、私たちの安心のためには行政がどういう支援活動をしているのか、もっと映像で示さなければいけない。

報道機関を含め、国民の安心につながる(情報開示)、これを積極的に行っていただきたい」

 

■支援物資 個人の受付不可 私たちにできることは…

 

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(4)「よその自治体からの支援を」

(鈴江キャスター)

(ア)「石川県によると、

  企業・団体からのまとまった支援の提供は受け付けています。

  現地へ直接搬入したりすることは、救命活動などの妨げとなることがあるため今は遠慮してもらいたいとしています。

  個人からの搬入、支援も控えていただきたい。

こうした行政側の体制の中で、今、私たちはどんな支援ができるのでしょうか?」

 

(イ)「自治体の職員も被災者。よその自治体が被災地に入って支援するくことが絶対必要」(松尾一郎氏)

「被災地としても、受け入れ側として、誰がそれを受け取るのか。加えて、それぞれの被災集落にどのように運び込むのかといったマネジメントができていないとダメなんです。

ところが、自治体の職員も被災者なんです。家族がある。やはり命を守る取り組みをしなければならない。

そういう意味では、全国の自治体が被災地に入っていく。そういう支援をしていくことが絶対必要だと僕は思います」

 

(ウ)「防災協定ができているところは現地へ入り支援している」(松尾一郎氏)

 

「三重県・紀宝町も1月2日に給水車を運んで中能登町というところで給水支援をしている。

ブルーシートも持ち込んでいる。

だから自治体間の防災協定ができているところはそういう支援ができる。

何もできていないところは、県を含めて受け入れを拒否されることもあるので、この取り組みをもっと広げていくことが私は必要だと思います」

(鈴江キャスター)

「これまでも被災経験のある自治体職員の方の力が役に立っています」

(エ)「被災経験のある自治体職員は応急危険度判定や生活再建の支援」(松尾一郎氏)

「東日本大震、熊本地震含めてノウハウ、経験がある職員がいる。

そういう方々は、応急危険度判定であったり、生活再建の支援だとか、そういうことができるわけですから、ぜひそういう取り組みを。

そして国がその取り組みを支援する、推し進めていく、これをまさにやっていただきたいと思います」

 

(5)冬場の避難生活の留意点

 

 

(鈴江キャスター)

「冬場の避難生活でどんなことに注意が必要ですか?」

 

(ア)「段ボールベッドなど被災地に持ち込み避難所の環境をより良くすること」(松尾一郎氏)

「冬場の避難所というのは、床が冷たいんですよ。

床が冷たい…肌が直接触れる。そういうところでの寝泊まりを強いられる。

そうするとエコノミークラス症候群を発症するんです。

これは、熊本地震の例を見てもそうですが、実際に地震で直接亡くなった方の5倍、6倍の災害関連死が起こる。

エコノミークラス症候群を含め、疾病、感染症に罹患(りかん)し、亡くなる方も多かった。

それをなくすためには早く段ボールベッド含め、被災地に持ち込んで、避難所の環境をより良くすることが大切です」

 

■広域避難の推進を…

 

(6)「避難疎開に国の支援を」(松尾一郎氏)

(ア)「もっと重要なことは、親戚知人含めじいちゃん、ばあちゃん、お父さん、お母さん、石川に、被災地にいらっしゃるでしょう。

これを避難疎開するということが必要だと思います。

温かい食事、温かいお風呂、しっかり安全に、余震がないところで寝泊まりする。

そういった取り組みが必要です。これは国しかできない。それをぜひ全国でやっていただきたいし、私たちも伝えていきたい」

 

(鈴江キャスター)

「なかなか陸路を使って遠くに行くというのが現状では難しい状況ではありますが…」

 

(松尾一郎氏)

「4日夜中に幹線道路を開通できれば、何とかバスで、被災者の中で高齢者の方をより安全なところに。東京でもいい。ホテルでも旅館でも、これは国が支援するしかないと思う」

 

(7)「車中泊」

(鈴江キャスター)

「車の中で過ごしている方もいると思うのですが、注意点をお願いします」

 

(ア)「車中泊をする場合は必ず1時間に1回は運動をする」(松尾一郎氏)

「軽自動車とかこぢんまりとした車に乗ると、寝返りが打てない。寝返りが打てないと運動ができない。そうすると大体、車の中で車中泊をされる方は水をあまり飲まない。トイレに行きたくない、行けないから。そうすると血液も濃くなる。

肺血栓塞栓症になって、エコノミークラス症候群で亡くなる方も増えます。

車中泊をする場合は必ず1時間に1回は運動をする。

水は拒否しない、トイレは常に使う。使い続ける。

そういうことをぜひやっていただきたい」

 

(鈴江キャスター)

「非常用電源ということで、発電するときの一酸化炭素中毒にも注意が必要です」

 

(イ)「発電設備や練炭は室外に置いて」(松尾一郎氏)

「発電機で電気を起こし暖房器具を使ったりする。

ところが発電機はガスが燃え一酸化炭素も含めて発生しているので、これは絶対に室内でやらない。

練炭も室内でやらないことが必要です。

そういう発電設備は外に置いて、室内ではきれいな空気の環境の中で過ごすということが必要です」