東京・武蔵野市長選で野党支援候補敗北、裏金疑惑を追い風にできず…立民「発信力に課題」(23年12月26日 読売新聞オンライン無料版)

 

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(1)24日に投開票された東京都武蔵野市長選は、立憲民主、共産両党など野党が支援した新人の笹岡裕子氏が、自民、公明両党推薦の新人、小美濃安弘氏に競り負けた。

野党は、自民党派閥を巡る政治資金規正法違反事件を追い風にできず、18年ぶりに自民系に市長の座を明け渡した。

 

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(2)立民の東京都連会長を務める長妻政調会長は25日、取材に対し、「我々の発信力に課題がある。きちっと敗因を分析したい」と語った。

 

(3)同市長選は次期衆院選に菅直人・元首相(衆院東京18区)の後任として立民から出馬する松下玲子・前市長の辞職に伴う選挙で、当初、松下氏の後継候補となった笹岡氏有利との見立てが与野党内に広がっていた。武蔵野市は、菅氏のお膝元で、強固なリベラル層からの支持も見込まれていた。

 

(4)「勝って当然という緩み」

選挙期間中、立民は蓮舫参院議員ら党首級が応援に入ったほか、共産、社民も相次ぎ幹部を投入するなど支援体制を構築した。

杉並区や世田谷区など野党系首長も応援に駆けつけたが、党幹部は「岸田内閣の支持率が低迷する中で、勝って当然という緩みがあった」と振り返った。

 

(5)「任期途中での衆院出馬へ反発、同日投票の市議選で菅氏長男に世襲批判」

松下前市長が任期を2年残したまま辞職したことへの反発や、市長選と同日投開票された市議補選に、菅氏の長男が出馬したことが「世襲」との批判を浴びたことが響いたとの見方も出ている。

 

(6)「前市長の外国人参政権を批判」

逆風下での勝利に自民は 安堵している。

 小美濃氏は、松下前市長が2021年に市議会に提出した、外国人に投票を認める住民投票条例案について批判。

選挙戦で「左翼政治にピリオドを打つ」と政治姿勢の違いをアピールした。

 

(7)「政治とカネ」を巡り与党に対し批判が強まっているものの、11月の高知市長選や、12月の東京都江東区長選などでも与党推薦候補が勝利している。自民幹部は「自民への逆風も強いが、野党にも風は全く吹いていない」と指摘した。