前原新党結成 連合が直面する「三つ股裂き」(23年12月5日 産経新聞オンライン無料版)

 

 

記事(松本学)

 

(1)支援先の立憲民主、国民民主両党の関係改善に腐心する連合に、新たな懸案が突き付けられた。

国民民主の前原誠司代表代行が離党と新党結成の意向を表明し、党が分裂状態に陥ったためだ。傘下の産業別労働組合(産別)によって支持政党が分かれる「股裂き」に苦しんできた連合は今後、異例の「三つ股裂き」の状況に直面しかねない。

 

(2)連合は平成11年の大会で当時の民主党を「基軸」とする政党支援方針を確認し、以降は一貫して民主党・民進党を支援してきた。

しかし、29年9月の衆院解散直後に民進は分裂し、現在は、その流れをくむ立民と国民民主を支援先に位置づけている。

今年11月にまとめた次期衆院選基本方針には、両党に関して「政策を最も共有し、その実現に向けて連携している政党」と記した。

とはいえ、両党間には、野党共闘を巡る見解の相違などからすきま風が吹き、連合は両党の連携を繰り返し促している。

 

(3)そんな複雑な状況に追い打ちをかけたのが、前原氏による新党「教育無償化を実現する会」の結成表明だ。

新党構想の発表に先立ち、

前原氏は連携を要請した

 連合の芳野友子会長、

 国民民主を支援する

  UAゼンセン、

  自動車総連、

  電力総連、

  電機連合

などの産別の幹部にも自身の考えを伝えている。

 

(4)新党は、国民民主と同じ「生活者、納税者、消費者、働く者の立場に立つ」との理念を綱領に明記しており、政策面で連合との親和性は高い。

ただ、現時点で連合は、新党との関係について踏み込んだ評価は避けている。

(芳野氏)

 1日、新党の位置づけを記者団に問われ「立民、国民民主と連携をとっていく。そして、共産党を除く政党には要請行動を行っていく。今の段階ではそうした形になるかと思う」と述べるにとどめた。

 言い換えると、新党は、立民と国民民主に比べると遠い関係にある政党の一つにすぎない、というわけだ。

 

(5)電機連合関係者は「新党参加を表明している衆参5人のうち、有力議員と呼べる人物は前原氏だけ。新党の影響力は限定的だ。民進が分裂したときほどの深刻な事態ではない」と語る。別の産別の幹部は、令和6年春闘に向けた取り組みが最優先の課題だと強調し「新党騒動に付き合っている余裕はない」と突き放した。(松本学)