海外ステーブルコイン、SBIが国内で取り扱い 米社と提携、来年にも 市場拡大に期待(23年11月28日 日本経済新聞電子版)

 

記事

 

(1)要点「日本でもドルのUSDCと円のJPYCが取引される」

法定通貨と連動して安定した値動きをする海外のステーブルコインが日本に上陸する。

(SBIホールディングス(HD))

 米サークル・インターネット・フィナンシャルと業務提携し、同社が発行するUSDコイン(USDC)を2024年にも国内で利用できるようにする。

(JPYC(東京・千代田))

 円ベースのステーブルコインを発行し海外ステーブルコインと交換可能にする。

 

(2)「ステーブルコイン」

 法定通貨や金など裏付けとなる資産を担保に発行し、価格が大きく変動しないよう設計された電子決済手段。

 海外にはテザーやUSDCがあり、国境をまたぐ送金などに使われている。

 日本ではステーブルコインの発行者を銀行、資金移動業者、信託会社に限定する改正資金決済法が23年6月に施行した。

 

(3)「SBIVCトレードが海外ステーブルコインを日本国内で扱う」

 米サークル社が発行するUSDCだ。

(SBIHD傘下の暗号資産(仮想通貨)交換業者SBIVCトレード)

 ステーブルコインを仲介するための電子決済手段等取引業の登録をした上で、USDCの取り扱いを始める。

 電子商取引(EC)サイト上の決済や送金での個人活用を想定する。

(4)(コインマーケットキャップ)

 USDCの時価総額は24日時点で244億ドル(3.6兆円)。

 取引実績

  23年11月17日までの累計で12.7兆ドル超の取引実績がある。

 

(5)「ユーロを裏付けとするステーブルコインの取り扱いも検討」

SBIVCはサークルが発行するユーロを裏付けとするステーブルコインの取り扱いも検討する。SBI新生銀行はサークルの口座開設などを通じて国内での事業推進を支援する。

 

(6)「円建てのステーブルコインを発行する」

1)スタートアップ企業のJPYCはProgmat(プログマ、東京・千代田)と組み、送金上限の無い信託型の仕組みを使って円建てのステーブルコインを発行する検討に入った。

2)三菱UFJ銀行や

3)オリックス銀行

が検討に入った。

4)海外の仮想通貨交換業者バイナンスホールディングスも参入を狙う。

 

(7)「これからは個人や個人事業主の利用を見込む」

これまでの新規参入組が狙うのが主に企業間決済市場の取り込みなのに対し、海外ステーブルコインの利用はどちらかといえば、個人や個人事業主の利用を見込む。

海外ステーブルコインに交換したい需要として、JPYCは「国境を越える小口貿易の決済やエンジニアへの代金支払い」(岡部典孝代表)などを挙げる。

 

(8)「仮想通貨の一種だったステーブルコインが法律整備で信用をもつようになる」

ステーブルコインは元々、仮想通貨の一種だったが、日本や欧州連合(EU)が法律を整備したことで、仮想通貨から切り離して定義づけられるようになった。

一方、米国はステーブルコインの法律整備に手間取っている。

ステーブルコインの発行元は法律にのっとった取引で信用力を高めようとしている。USDCのように米国発のステーブルコインが法整備で先行した日本や欧州で流通を広げようとする動きが増えそうだ。

(フィンテックエディター 関口慶太、日高大)