1.バリアフリー法による整備対象建築物と整備の義務化

 

建築物移動等円滑化基準

適用

2000㎡以上の特別特定建築物

(基本的には新築建築物

 不特定多数もしくは、高齢者、障害者等が主として利用する建築物)

 

義務化すべき建築物特定施設

特徴:下記を整備すること

・ホテル客室で総数50室以上で1室以上車いす使用者用客室

・オストメイト対応水洗設備を1以上

 

バリアフリー法以外に法第14条第3項によって

地方公共団体が地域の実情に応じて独自にバリアフリー委任(付加)条例を制定し整備対象範囲を拡大し特定施設を付加することができる

 

バリアフリー委任(付加)条例で制定できる範囲

①努力義務とされている特定建築物から義務化できる特別特定建築物へ対象範囲を拡大すること

②対象とする建築面積の規模を2000㎡未満へ引き下げること

③特定施設のバリアフリー基準の内容を強化できること

いずれも建築基準法と同等義務化法令(建築確認法令)として運用

地方公共団体の福祉のまちづくり条例で整備義務が課せられない建築物等に対して一定の整備強化を図ることができる。

 

バリアフリー法は地方公共団体がバリアフリー条例を制定することによって有効かつ広範に活用することができ、地域の特性や連続性、一体的なバリアフリー整備の促進に極めて有効。

 

2.バリアフリー条例と福祉のまちづくり条例

 

バリアフリー条例

2014(平成26)年4月現在 都市部中心に13都府県6区市が制定

 

①福祉のまちづくり条例と別立てのバリアフリー条例を制定する方法

②福祉のまちづくり条例の建築物の用途、基準の一部分をバリアフリー条例とする方法

 

バリアフリー条例制定する理由

建築主事業主の善意のみに依存するのではなく、国および地方公共団体が責任を持ち確実なバリアフリー化の実現をすること。
→ただし、地域住民、事業者、行政の成熟度と合意にかかっている。

福祉のまちづくり条例

バリアフリー条例として強化され
理念的な条例→建築基準法に基づく許認可法令として進展。

今後進展していくためには、
多様な市民、利用者の理解、地域における整備水準の設定、福祉や都市の環境整備、道路・交通計画との整合性や連携が重要
 

 

 

ユニバーサルデザイン環境整備を進めるためには

整備の目的と役割を明確にすることから始める。

 

対象となる建築物が商店街、公共施設、公共空間、公園、公共交通機関や道路のバリアフリーやユニバーサルデザイン計画と密接に関係しているか、単独の整備かによっても整備手法が異なる。

 

公共の施設や空間のユニバーサルデザイン計画の場合

住民参加が必須要件

 

バリアフリー法基本構想に基づく重点整備地区

→特別特定建築物に限らず長期的視点に立って建築物の整備計画を立案し整備後の検証が必要となる。

 

建築物の整備

・利用者のだれもが安全かつ安心して利用できること

・まちの環境に魅力的に調和していくこと

・建築物が円滑に利用されるには物理的な環境整備だけでは不十分

 ↓

<重要な要素>

・施設までの移動手段

・多様な施設利用情報の提供

・人的なサポート体制

・施設の良好な維持管理

 

バリアフリー法の運用で重要な基本構想の策定

基本構想で重要な重点整備地区の設定が重要。

 

重点整備地区

旧交通バリアフリー法

→旅客施設を基点とする徒歩圏エリア限定

バリアフリー法

→地域の実情に応じて一定の条件下で市町村が独自に設定

点的エリアどりから複数の面的エリアどりに以降し、連続的、総合的なまちのバリアフリー化が期待されている。

 

1.基本構想

 ①目標の明確化

 ②都市計画等との調和

 ③地方公共団体の福祉のまちづくり条例、バリアフリー条例、障害者  計画、老人福祉計画等との調和を図る

 ④交通計画等関連事業との連携

 ⑤高齢者・障害者等の提案および意見の反映

 

2.重点整備地区

 ①重点整備地区の要件

 ②総合的な都市機能の増進を図る地区

 ③複数の市町村および都道府県の協力

 ④協定制度

 

3.生活関連施設

 高齢者、障害者等が日常生活または社会生活において利用するすべての旅客施設、官公庁舎、福祉施設、病院、文化施設、商業施設、学校、公園等で地域の実情と事業者の合意により定める。

 2000㎡以上の特別特定建築物は必須の整備対象施設

 

4.生活関連経路

 生活関連施設をつなぐ経路

 ・すでに移動等円滑化されている経路

 ・将来的に優先して整備すべき経路

 対象となる

 日常生活がとぎれないように複数の移動ネットワークを整備する必要がある。

 

5.特定事業

 バリアフリー基本構想の重点整備地区内に位置づけられた事業者別、施設管理者別移動等円滑化事業

 ①公共交通特定事業

 ②道路特定事業

 ③路外駐車場特定事業

 ④建築物特定事業

 ⑤都市公園特定事業

 ⑥交通安全特定事業

 

6.その他

 ①放置自転車、違法駐輪、駐車等を防ぐ駐輪場、駐車場施設整備、バリアフリー整備に伴う市民、利用者、施設管理者の意識改善(心のバリアフリー)の規定

 ②重点整備地区内の事業実施、進行管理、情報提供、協議会の活用、連絡調整、スパイラルアップ(連続的、段階的整備)の推進

 ③視覚障害者、聴覚障害者、知的・発達・精神障害者等の情報、コミュニケーションにおけるバリアの改善

 

スパイラルアップ

→ひとつひとつのプロジェクトの成功や失敗経験を重ね合わせてよりよいバリアフリー化、ユニバーサルデザイン化につなげていく考え方で

継続的なスキルアップの実行プロセス。

 

基本方針

「移動等円滑化の内容については、基本構想作成に係る事前の検討段階から事後の評価の段階に至るまで、高齢者、障害者等の利用者及び住民が積極的に参加し、この参加プロセスを経て得られた知見を共有化し、スパイラルアップ(段階的かつ継続的な発展)を図ることが望まれる」

 

整備情報の共有、協議、目標に則した適切な事業計画を立案するしくみが重要。

 

 

 

バリアフリー法

・ 施設管理者の責務が明示されている。

・ 新設、新築時の移動等円滑化基準への適合義務付け。罰則あり。

・ 既存のものには義務はないが、適合努力が求められる。

 

市民・利用者によるチェック機能や利用者への適切な施設利用情報を提供するしくみをつくる必要がある。