『こんにちわ!』
『おー、よー来たな。入りんさい』
老人が自宅の大きな鉄製の門を開けて中を案内してくれた。
門を入ると芝生が敷き詰められている。
庭の両側にはよく剪定された大きな松の木が何十本もそびえたっている。
右側には大きな池があり、その池の中には無数の鯉が放たれている。
池には石垣で作られている滝から水が流れ落ちている。
玄関のドアは日本の城をモチーフに作られているのだろうか、重厚な木製のドアだ。
重厚な玄関ドアを開けると、75歳くらいの上品な夫人が挨拶に出てくれた。
奥さんだ。彼女の名前は【キネ】と言う。
どうもこの館と符合しない名前だ。
そしてご主人の名前は【伝次郎】。
どちらの名前もこの館には似合わない名前だ。
奥さんがダイジュに『よう来んさった』と広島弁で挨拶をしてくれた。
ダイジュも『はじめまして。松井です』と挨拶をかわした。
玄関を入ると床には白いシャギーの絨毯が敷き詰められている。
そこはロビーのようだ。約100畳ほどあるだろうか。
隅には白いグランドピアノが鎮座している。
老人の伝次郎さんが家の中を案内してくれた。
各部屋を案内してくれたが、何部屋あるか忘れてしまった。
裏庭には15メートルほどの楕円形のプールがある。
プールの水の中からブルーのライトが照らされている。
ダイニングルームに案内されると、キネおばあちゃんが、大きなテーブルの上ですき焼きを料理していた。
今夜の料理はすき焼きだ。すき焼きのいい香りがする。
ダイニングの椅子に案内された。
『今日はすき焼きじゃ。懐かしかろうが?』と伝次郎が言う。
しかしダイジュは3日前に日本から来たばかりだ。
日本でもあまりすき焼きは食べなかったのでうれしかった。
すき焼きの牛肉が山盛り皿に盛られていた。
こんなに大量の牛肉が盛られたすき焼きは見たことがない。
日本でのダイジュの家では、父親の給料日しかすき焼きはしない。
肉の量も4人家族で250グラムだ。
食事をしながら、伝次郎さんたちがハワイに移民した当時の苦労した話をしてくれた。
『ダイジュ君も、メインランドに行ったらいろいろなことがあるけんど、アメリカは自由でいろいろな可能性がある国じゃけん、へこたれずに頑張りんしゃい。ところでわしの孫娘にLAでおうてくれんかの?』
『いいですよ。連絡先を教えてください』
伝次郎さんはメモ用紙にボールペンで孫娘の住所と電話番号を書いてくれた。
孫娘は今はUSC(南カリフォルニア大学)の2年生で19才らしい。
写真を見せてくれたが、美しい女性だった。
ダイジュはほくそえんでいた。
食事が終わり帰ることになったので、ナンシーの弟に電話して迎えに来てもらうことにした。
メインランド、LAに行けばいろいろなことが待ち受けている予感がした。
アメリカではロスアンゼルスのことを、LA(エルエイ)と言う。【ロス】とは言わない。
ALOHA !
See you and Good luck to you !
- to be continued -







