「時を忘れて。。。」
アルカナが言った。
行き止まりの道は森の奥深くへと"意志"のように道を見せ始めた。
アルカナは戸惑う恒太郎を瞳で誘い、見え始めた道をゆっくり進み始めた。
寄り添い歩く二人は夜を纏う森に包まれ、静寂の中に溶けて行った。
時忘れの森の奥深くへと。。。
波の音が聞こえる薄曇りの砂浜に、一組の男女がいた。
まだ陽の明けきらない空の下、ひんやりとした潮風が二人を撫でていた。
二人の姿は咲き並ぶ花よりも寄り添い、水平線の遥か彼方を見つめる男の瞳は"意志"という"愛"に満ちていた。
人は歩き続けてきた人生という道を引き返せない。
その道を選ぶことさえできずに歩き続ける。
"意志"を持ち明日へ自らを押しやるのみ。
"意志"に背を向けてさえいれば、人生も幸せだと感じるだろう。
しかし、何かが違うと感じ始めた人間は"意志"を探し始める。
向き合うことのない"意志"と出会い、それが何かを知る。
森に見え始めた道は、明日の形だったのか。
"意志"を掴んだものだけが見える道だったのかもしれない。
明日という形が、砂浜に佇む二人の視界に広がり始めているのか。自信に満ちた二人の瞳は穏やかに彼方を見つめ続けた。
確かなもの。
それは"愛"
そして"意志"だけが"愛"を見せる。
男が言った。
「君はもう。。。"私"なんだね」
女は静かに頷き
「うん」
と答えた。
現と夢の隙間から抱き寄せる"愛"
理解できぬ感情を振り切り。。。
それでも尚"意志"と向き合い"愛"を掴もうとした。。。
現を流れる"時"の中で、明日を。。。。。
二人は見続ける。
ー前編ー
完
☆後編は秋から。。。

