「フォリナー24R」 | 我ここに在りてここに無し

我ここに在りてここに無し

青きBOUGAの果て

ひとりごとのように

詩と小説を書き綴ります。

何か心に響くものがあれば

それだけで。





-弾む心?♪-




 翌日、部下の書類に目を通していると、錬太郎の頭に昨夜の話題が浮かんできた。




これが錬太郎の不思議なところ?いや、誰にでもあることかもしれないが、いま実行している作業をしながら別のことを考えている。目から入り込む情報は何の意味も持たない。


 つまり、眼前から脳の入る情報も、見ようとしなければ意識に入り込まない、認識しないということ。当たり前のようだが、脳とは不思議なものである。



昨夜は独身貴族のような男の集まりだから、あんなふうに“俺流”などと威勢よく言えるが。



 こと“男女”の間でああは行かないだろうと思った。



 自分一人りなら人生も俺流でいいが、結婚生活に通じるはずはない。




 女性が開き直ると、男なんか貧弱なもんさぁ。。。などと自分を振り返っているのか、訳のわからないことを考え、一人苦笑い?。


 まぁ、おやじの頭に浮かびそうなことかもしれない。そんなことばかり考えていても埒が明かない。



 さぁ、仕事仕事。


 と、そこへ



 「部長!3番にお電話です!」



 と言われ、受話器を取った。

 

「すみません、お仕事中。。。」



 恭子からだった。 錬太郎は



「おぉ。。。」



 と言いかけ



「先日失礼致しました。今日のご用件は?」



 とゆっくりと丁寧に答えた。



 電話の向こうで、恭子はクスクス笑っていた。




「あの、お仕事のご都合が宜しいようでしたら、今週末海を見たいと思って。マスターと一緒にタマさんのお店に行きませんか?メールでも良かったのですが、仕事中の錬太郎さんの声ってどんなのかなって?♪」




 悪戯っぽく恭子が言った。



 錬太郎は、少し間を置いて




「結構です。詳細は後日またご連絡致します。では、後ほど。」



受話器を置いた。



 錬太郎はもう少し声が聞きたかったようだが、あっさり電話を切った。


 
 仕事バカの錬太郎らしい。



 それにしても何故、海が見たいなんて?



 まぁ、調度いい。


 昨夜の旅行の話もしなきゃと思っていたから。


 恭子の明るく爽やかな声が聞けた錬太郎は、普段ではあり得ないほど仕事に励んだ?


 なんと正直な男だ♪  




そういえば、ガリレイやニュートン以前、アリストテレスの哲学に「目的論」というのがあったことを思い出した。


 彼が考えた「目的論」、「目的因」とも言うらしいが、物には(人間の行動にも)、それに内在する性質として目的があって、それに応じた振る舞い(運動)をするという考え方だ。



 非常に不完全な考え方とも言われるが、今の錬太郎にはピッタリ♪



 まさに目的がはっきり行動に現れている。


 相対的relative。。。相対性はrelativity。。。絶対はabsoiute。差し詰めrelative?


 錬太郎を見る人の基準によっては、まぁ。。。少しは見れる中年?などと。。。なんともはや電話一本でそこまで昇るか。


 錬太郎。。。笑ってやって下さい♪



この錬太郎、どこか常識を捨てて生きているところがあり、それが欠点でもあり長所でもある。


 何れにせよ、彼の頭の中に浮かぶキーワードが出揃ってきたようだ。



 時間、記憶、自己、夢、そして旅。



 あとは、タマさんの予定を確認しなきゃ。



社が引けて、錬太郎は自宅近くの定食屋で夕食を済ませ、真っ直ぐ帰宅した。



 少し日が長くなり始めていた。


 まだ夜風は冷えるが、錬太郎には心地良かった。


 不思議なものだ。。。ほんの小さな出来事が心と身体を前向きにさせる。


 などと思ったり、夜空の星や月も、どこか自分に微笑んでいるようにさえ感じる。


 

いやはや。。。まったくもって脳天気、幸せ者の錬太郎であった。





つづく




$のんびりと