81. Save the earth | 我ここに在りてここに無し

我ここに在りてここに無し

青きBOUGAの果て

ひとりごとのように

詩と小説を書き綴ります。

何か心に響くものがあれば

それだけで。






現実に、この光景を目にすることはありえない。。。今、錬太郎いる宇宙空間を。。。数えきれないほどの人間。。。?。。。が。。。踊り。。。そして歌を唄いながら。。。ゆっくりと歩み寄ってくる。。。






 錬太郎を包んでいた筒状の透明なカプセルは消え去り、宇宙空間に何の障害も違和感も無く錬太郎は立っていた。




 立っているというよりは、空間に浮いているという表現が適切かもしれない。






 和也が言った。。。









「錬太郎。。。君には見えるだろう。。。眼前に広がるものが。。。彼らが。。。」


「あぁ、見える。。。何故。。。宇宙空間に。。。彼はいったい何だ?何故、今、俺は宇宙服も無しにこの空間に立っていられるんだ?」


「錬太郎。。。お前の脳と宇宙は繋がっているのさ。君らが距離と時間を考える時、物理的条件を考えるだろう。。。それは目に見える世界のことだ」



「それは、当然だろう。。。人間なら。。。」



「人間ならな。。。な。だが、考えて見ろよ。錬太郎は自らの脳の中で創造し空想を描くだろう。それは、瞬時にして遥か宇宙誕生の時の光。。。137億光年彼方までも移動するはず。これが何を意味しているか解るか?」


「でも、それはあくまで脳の中の話だろう?想像、空想の世界じゃないか?」


「そうか?君ら人類は、現代に至るまで自らが想像してきたことを具現化してきた。そのことを忘れていないか?何か、出来ないものがあったか?君らは、僕等とは違いゆっくりと時間を掛け歩むようにしてきた。そして、自らが創りだした文明により破壊を招き、滅亡という同じ過ちを繰り返して来た」



「同じ過ちって何だよ。和也!君らが地球で創りだした文明が滅亡した理由はなんだったんだ?それを聞かせろよ!」


「それは。。。物質的欲望の果てさ。。。必然的とも言える破滅の道。。。」



「だから。。。”愛”を。。。君らは”愛”を知らなかったのか。。。」



「DNAの解析が進んでいるだろう。人間の遺伝子の中に我々は確実に肉体の破壊を導くプログラムを組み込んだ。でなければ地球は人間で溢れる。今現在でも69億人超の人間がひしめいている。自然淘汰される中で、人間だけが自然の摂理に背き生を自らの生をコントロールし始めたの。科学を進歩させ、破壊される運命にあるものに対し生を伸ばし続けようとしている」


「誰もが生きたいと思うのは当たり前だろう!」


「なぜ科学が進歩している中で人は殺し合うのだ?生まれてくるもの、死に行くもの・・万物の創生、人間・脳・哲学・宇宙・生と死。。。人は、何故と問われても自然に湧き出てくる問いがある。それだけが人類を再生させてきた。これは、君ら人類に僕らが与えたものだ。人間としての普遍的な命題をな。生きることの意味を考えさせてきたんだ」









「生きることに意味などないかもしれない。。。」









 錬太郎は呟いた。






「何故、俺たち人間は生にこだわるんだ?死に行く運命にあるんだったら。。。考えても仕方ないじゃないか。日々をより良く生きようと必死に生活している。何故だ?」







「その問いに答えは無い。。。人間だからさ。自己の存在を意識するのは人間だけさ。一人では意味を成さない存在。ところが、過去の人類は現在よりも遥かに具現化する能力が高かった為、周囲との関係を互いに閉じてしまい、自らの物質的なものに関心を持ち始め、利己的な欲望に突き進んでいったのさ」






「確かに、俺たちの社会も同じ道を辿り始めているような気もする。その不安やリスクを食い物にするのが社会ということか。。。それをエネルギーにしているということか。。。人類は。。。」




「だから、その解決を図るために我々の分身を地上に放ち、同じ過ちを犯すことの無いよう幾度となく修正を図ってきた。だが、我々自身に”愛”という概念が無かった。これが最大の弱点だった。幾度も物質的環境や社会的ルールを創り出そうとしたが、目的を失った社会は崩壊していくという結果を招いた。我々は、その究極とも言える答えを探し続けた」




「それが、あの。。。曖昧な。。。”愛”だったと言うんだな?」





「あぁ。人が生きていくためには目的がなければ幸せになれない。ただ、日々食し睡眠をとり最低限の行動を継続していくことにどのような意味を見出せなくなっている。何かを創造するでもなく、生を継続することへ違和感が生じ破滅の道を辿るという過ちを繰り返さぬためにな。。。」





「俺たちの社会は、リスクに関する様々な統計を提示したり、人々の不安を煽り続けているってことは知ってる。でも、安心って。。。リスクを回避したものにだけ与えられるのか。。。そんな疑問はある。次から次へとリスクを煽る。とこまで続くのか分らない。だから、なのか。。。俺は目に見える世界より、言葉のある世界より、何も自ら発することの無い物に興味を抱き始めていた。彼らに潜むものを感じてみたくなっていた。毎日毎日、目や耳を塞ぎたくなるような情報ばかりさ。俺たち人間は不要と判断する情報をどこかでシャットアウトしている。和也が言うように利己的な欲望を満たそうと突き進んでいるのかもしれない」




「創生の時、そこにも人間はいたが、彼らは死の恐怖を自然の摂理として受け入れていた。生き長らえることが幸せではないと、誰が世界に向かって言葉を発することができる?生と死の矛盾を創り出しているだけだろう。生きるべくして生きる。死ぬべくして死ぬ。生きて何を得るのではなく、何のために生きるのかが大切なんだ。錬太郎、お前。。。それを言ってたよな。。。死の時を引き伸ばすために生きるのではなく、創造することが人間に与えられた唯一知性を持つ生物たる証。その最も須高な証が”愛”だということを錬太郎から学んだよ。。。”愛”を。。。な!」






「でも、これからも、繰り返されるんだろう?人類の滅亡は?」



「人間は、それを知っていて無視を決め込んでいるんだよ」



「じゃ。。。どうすればいいんだ?」





「錬太郎!お前は俺と同じ。。。”Invisible man”。。。”目に見えない男”だ。目に見えぬ男であり。。。そして。。。目に見えぬものを。。。全て見ることができる。今、目の前に映る彼らが見えるから。。。」


 



 美由紀を包んでいた透明なカプセルも既に消え去っていた。。。






「俺は、これから何をすればいいんだ?」




「地上に残した、創生主の分身4人を探し出し、君と5人で、この地球に”愛”を与え地球を救え!」




「ん?”愛”を?。。。与える?。。。そんなこと。。。どうやって?」






 数えきれない人間?達が歌を唄い、踊りながら周囲を回っていた。。。








 つづく