「随分と手間の混んだ芝居だったね。アッ君!ヒマちゃん!」
美由紀は、錬太郎が何を言っているのかまったく理解できなかった。
彼女に説明もしないまま、錬太郎が発した言葉を美由紀は必死に理解しようとしたが、アッ君とヒマちゃんなどという名前すら聞いたことも無い。戸惑うのも当たり前だ。
さらに、錬太郎の父と思われていた老紳士の口から”宇宙へ ”旅立つという言葉が。。。
「あれれ。錬太郎にバレちゃったね、ヒマちゃん♪」
「そうね。それでは仕方ありませんね。アッ君♪」
二人は、例の。。。”ホイッ♪”と言う洒落っ気たっぷりの言葉を放ち、一瞬二人は青白い光に包まれた。
アッ君は加納裕次郎に、そしてヒマちゃんは錬太郎が創りだした世界でヒマちゃんの分身として出会った泉と裕子そっくりの女性に。
そう言えは、彼ら二人の本当の名前を聞いていなかった。
錬太郎は、彼らに聞いた。
「君たちの世界で呼ばれている本当の名前を教えてくれるかな?アッ君でもヒマちゃんでもなく、本当の創造主である君たちの名前をさ!」
二人は、また顔を見合わせた。
「いいだろう。今までは仮の名前ばかり名乗っていたからね。私の名は”アダム”」
「アダモ?昔テレビで聞いたことがあるぞ!アダモって?アダモステ。。。アダモちゃんって。。。」
「違う!。。。ア・ダ・ム。。。だ!!!創造主に向かって失礼だぞ!」
「はいはい。失礼しました。。。で、ヒマちゃんは何て言うの?」
「私は”イヴ”」
「”アダモ”と”イヴ”って言うんだ」
「違う!。。。"ア・ダ・ム”だ!間違えるな!!!」
「はいはい^^」
美由紀は間の前で繰り広げられる場面に、ただ茫然としていた。
「この世界に生きるすべてものは我々二人が創り出したのだ。錬太郎。。。君はその一人であり、我々を越えた人間であることを認めよう」
アダムとイヴは顔を見合わせ微笑んだ。
それを見ていた美由紀は、訳も分からないまま錬太郎の横に座り右腕にしがみついた。
錬太郎は、にこれまであった出来事のあらましを美由紀に話し始めた。
アダムとイヴは二人の様子を静観していた。
美由紀は、少しずつ冷静さを取り戻していった。そして、二人の創造主を見て言った。。。
「これから、何をするの?貴方たちは?」
するとアダムは
「帰るのさ。我々の故郷へね」
「そこは、どこなんだ?。。。いや、まて。その前に聞いておきたいことがある。我々人類の生い立ち、その根源は君たちが創りだしたというのは分った。イヴが僕をアトランティスに連れて行ったことも理解していた。どこへ旅立つかより先に、創生の時代を。。。聞かせて欲しい。でなければ我々が辿る道を知ることが出来なくなるから」
「ふーん。そうかぁ。。。錬太郎の言うことは最もだ。創生の時か。。。いいだろう」
そう言うと、イヴはアダムと同時に”ホイッ♪”と言葉を発し、二人をアトランティスへと導いた。
マウンドだった。
錬太郎のマンションの一室が、イヴ(ヒマちゃん)が一度錬太郎に見せてくれた世界へと変わっていた。
一瞬、美由紀は驚いた表情を見せたが、この状況は何が起きても仕方ないと覚悟したようだった。
太陽が二つ、月が二つ、そして氷河。。。青白くヒンヤリとした景色。そして無菌、無臭の完全なる清浄な空気が漂う空間に立っていた。
すると神殿のような建物の奥から人影らしきものが、ゆっくりと近づいてくるのが見えた。
ん?一人では無い。。。数人いる。。。錬太郎は思い出し始めていた。。。
ん?アレッ。。。あのTシャツ。。。おっ。。。おー。。。。。
美由紀が目を丸くした。
「錬太郎!あれっ。。。ほらっ、あれは。。。」
「ん?お前まで。。。なんでここに。。。」
人生、意外な場所に意外な人物がいるもの。。。ここにも。。。のんきな人間が。。。
つづく