『Stone and leaf』
ある日、石ころ君は森の中でトナカイ君と出会いました。
トナカイ君はとても立派な角をもっていたので、石ころ君はトナカイ君に言いました。
「僕と、トナカイ君の角はどっちが硬いかな?」
するとトナカイ君は
「石ころ君の方が硬いに決まってるさぁ!」
と言いました。すると石ころ君は
「それなら、硬いと強いのかな?」
するとトナカイ君は
「そればどうかな?」
石ころ君は自信を持って言いました。
「トナカイ君。僕とどっちが強いか勝負しよう!」
石ころ君はトナカイ君へコロコロと転がりながら正面から体当たりしました。
すると、石ころ君はトナカイ君の角にヒョイッと持ち上げられ、空高く飛ばされてしまいました。
トナカイ君は言いました。
「硬いだけじゃ勝てないよ。形がでこぼこしてて長い手足や頭もなきゃ!」
石ころ君は空から落ちてきてトナカイ君を見て言いました。
「僕は長い手足や凸凹があると真っ直ぐ転がることが出来ないんだ。トナカイ君のような長い手足や角はいらないよ」
と石ころ君が言いました。
トナカイ君は石ころ君を見て
「そうだね、僕は転がるのは下手だよ!でも色んな動きが出来るんだよ。ほらっ。前足を挙げたり後ろ足を挙げたり、首を振ったりできるんだ。」
と言いました。
石ころ君はそれを聞いて
「足を上げたり首を振ったりしてどうするの?」
と言うとトナカイ君は
「挨拶したり、高い枝にある実や葉を食べたり、時には喧嘩したり、仲良くするときも使うんだ」
と言いました。
すると石ころ君は
「それじゃ、食べたり喧嘩したりしなきゃ足や首が無くてもいいんだ!葉っぱさんとは仲良しだし、僕は食べたり喧嘩したりしないからやっぱりいらないよ」
と言いました。
トナカイ君は、石ころ君と話すのをやめ森の奥へ去ってしまいました。
石ころ君は、葉っぱさんの待つ家に帰り、トナカイ君とのお話をしました。
葉っぱさんが言いました。
「石ころ君、私も動く手や首がないから石ころ君といつも座っているだけ。動くときは風がないと駄目だし、石ころ君が私を乗せてもすぐに落ちてしまう。きっと、二人でいると手や足や首、頭はあった方がいいのよ。いろんなことが沢山出来ると思うわ」
石ころ君は葉っぱさんの話しわ聞いて
「そうかぁ、頭や首、手や足もあった方が葉っぱさんと楽しく過ごせるんだね。それは周りにいるみくなと触れ合うためにあるんだ。自分一人じゃいらないけど、誰かのために使うんだ。葉っぱさん!僕、頭と首、手や足を貰えるよう森の神様にお願いにいってくるね!」
と言って、コロコロ転がりながら森の奥の神様に会いに行きました。
「神様、僕は頭や首、手や足が欲しいんです!」
とお願いしました。すると森の神様は
「石ころ君、君は頭と首、手や足と首を何に使うんだい?」
と聞いてきました。石ころ君は
「葉っぱさんと楽しくすぐすため、葉っぱさんのために使うんです!」
と答えました。
神様は喜んで石ころ君に頭と首、そして手足を作ってあげました。石ころ君は喜んで家に帰ると、
「ほらっ、見て!頭と首、手と足だよ!神様が作ってくれたんだ」
石ころ君は嬉しそうに葉っぱさんに言いました。すると葉っぱさんが
「石ころ君はいいな、私はどうすればいいの?」
と聞かれ石ころ君は森の神様の所へ一緒に行こうと言いました。
二人は森の神様に葉っぱさんにも頭や首、手や足を作って欲しいとお願いしました。すると神様が言いました。
「石ころ君は葉っぱさんのために自分の体に頭やと首、手と足を付けて欲しいと言ったんだ。だから葉っぱさんはいらないのかと思っていたよ。葉っぱさんにも作ってあげたいけど、二人は一緒に暮らせなくなるかもしれないよ」
「なぜですか?」
石ころ君が神様に聞きました。
「二人は、足りないものを補っていたから一緒に暮らしていたんだよね。もし、どちらも同じだったらきっと別々に自由に暮らすと思うな。それでも、いいのかい?」
石ころ君は言いました。
「それは困ります。それなら二人で一組の頭と首、手と足にすればいいんですね。僕は葉っぱさんの首や手足になるから!葉っぱさんは頭になるようにできますか?神様!」
「わかった。そうしよう。葉っぱさんもそれでいいかな?」
石ころ君と葉っぱさんは一つになり、石ころ君は首と手足、葉っぱさんは石ころ君の首の上に乗り頭になりました。
でも、心は二つ。。。別々のままです。
はじめは二人はとても喜んで、仲良く暮らしていました。。。
でも、やっぱり心は二つのままでした。
二人は、お散歩するがとても楽しくなりました。
そんなある日、石ころ君と葉っぱさんは小川へ遊びに行きました。小川のそばに美しい花が咲いていました。その花を見て葉っぱさんが言いました。
「このお花、とっても綺麗だね♪石ころ君、見て!見て!」
すると石ころ君は
「わぁ~綺麗だね♪」
と心で言いました。
石ころ君と葉っぱさんには口がありません。いつも二人は心でお話をしていたので必要なかったのです。
するとそこにお猿さんが水を飲みに来ました。
石ころ君と葉っぱさんはお猿さんに言いました。
「見て!見て!お猿さん、この花綺麗でしょ♪」
と話しかけると
「私には、石ころ君と葉っぱさんが本当にその花が綺麗だと思っているのかわからないよ?」
とお猿さんが言いました。
葉っぱさんが
「心でお話しているから顔なんかいらなわ♪」
と言うと、お猿さんが
「私も心でお話はできるけど、顔があるから、楽しかったり、嬉しかったり、怒ったりしても、仲間はみんなすぐにわかってくれるよ!それに声だって出せるし、美味しい食べ物もわかるんだ♪」
すると石ころ君が
「そうだよ、葉っぱさん。僕達二人は臭いや味なんか知らないんだ。それに声もない。嬉しかったり、怒ったり、悲しかったりしても葉っぱさんの心の言葉だけ。顔があるともっと色んなものを感じることができるんじゃないかな?」
と言った。
お猿さんは手に持っていたリンゴを二人に手渡し
「それを持って神様の所に行ってごらんよ!きっと口がもらえるよ♪」
そう言って森の奥に去って行きました。
石ころ君と葉っぱさんは森の神様のところに来ました。石ころ君は言いました。
「僕は葉っぱさんの気持ちをもっと感じたいし、僕の気持ちも葉っぱさんにもっと伝えたい。笑ったり、泣いたり、怒ったり、美味しいものも食べて笑顔になっている葉っぱさんも見たい!動けるだけじゃ駄目なんです。神様、どうか顔を下さい」
と手にもったリンゴを神様に捧げました。
すると神様が
「心で会話するだけでは駄目なのかい?」
と言うと葉っぱさんが
「私も石ころ君の気持ちをもっと感じたいし私の気持ちも伝えたいんです。それに、森の中の他のみんなとお話をするときも私の気持ちを伝えたいんです。身体全体で!」
と言った。神様は
「そうか。わかった」
石ころ君は
「じゃ、葉っぱさんに顔を作って下さい。僕は手足を貰いました。葉っぱさんには顔ができると僕達二人で動物や人間と同じものが身につけられます!」
と言った。
「石ころ君には口が無くてもいいんだね」
と神様で言うと、石ころ君は
「葉っぱさんがお話したり、食べたりしてくれるからいいんです。それを一緒に感じます」
神様は頷いて、葉っぱさんに顔を作ってあげました。口も目も鼻も耳もあります。すると神様が言いました。
「いいかい?二人はいつも離れたりしてはいけないんだよ。これから葉っぱさんは石ころ君の目や口、耳や鼻になって石ころ君に色んな物を感じさせてあげるんだよ。いいね」
そう言うと神様は二人が持ってきたリンゴを小さく割って、葉っぱさんの口にそっと入れてあげました。神様が
「さぁ、葉っぱさん、ゆっくり噛んでごらん」
葉っぱさんはゆっくり噛みました。すると
「美味しい♪甘い♪」
と言いました。石ころ君の身体に葉っぱが噛んでくれたリンゴが流れ込みました。石ころ君に顔はありません。でも心の言葉を葉っぱさんに伝えました。葉っぱさんは石ころ君が自分身体の一部になってしまったことを知り、大声を出して泣きました。
石ころ君が心の声で言いました。
「僕はいつも葉っぱさんの手足になってあげる。でも心がバラバラだと上手く一緒に暮らせないと思う。仲良くしよう」
そう心の言葉を葉っぱさんに伝えました。
神様が葉っぱさんに言いました。
「これでやっと全部揃ったね。でも、いいかい?石ころ君はいつも葉っぱさんの心の中にいるんだ。だから心が嘘をついても身体は嘘をつかないよ。顔で心をごまかすことはできるけど身体は嘘をつかないしごまかせない。石ころ君と心を一つにしないと駄目なんだよ。それだけは忘れないで。いいね」
と言って神様は消えてしまった。
それから、葉っぱさんは石ころ君は身体を一つにして森の中で生活を始めました。
しかし、一つの身体に心は二つのままでした。
つづく