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伯爵と錬太郎だけが。。。真っ白な空間に立っていた。
伯爵の目から零れ落ちる涙。。。
「これが。。。これが。。。私の中に生まれた感情なのか。。。この涙は。。。コントロールできない。。。何故だ。。。」
その時、錬太郎が言った。。。
「伯爵。。。創造したものを現実に具現化できる能力を持っていても、自分の心まではコントロールできないんだ。。。脳で考えてるんじゃない。。。矛盾しているかもしれないけど。。。そうだろう。。。伯爵。。。何故。。。アッ君。。。君は自販機に入り込んでいたんだ。。。伯爵。。。瑠菜さんはどこへ行ったんだ?」
と錬太郎は聞いた。すると
「錬太郎。。。自販機はコインを入れて欲しいものを機械的に無機質に得るものだ。そこに感情は存在しないし創造もない。我々が最も人間の行動をシンプルに観察できる場所なのだ。もし、我々と同じ能力を持つ者がいるとすれば、ここでしか見い出せないと考えた。そんな場所に”創造”する意思を持って、幸せを感じ取る人間などいるはずがないと思っていた。しかし、ある日。。。一礼をし言葉を交わそうとする人間を見つけたんだよ。錬太郎。。。君だよ。。。瑠菜は。。。私と同化したのだ。。。私は驚いた。どんな人間かを知りたくなったのだ。そこで、君の心に。。。いや。。。脳に入り込んだ」
「伯爵。。。今も昔も同じなんだよ。人間は未熟じゃないよ。。。人間が持ってる自我、私という存在を認識できる唯一の存在だからこそ、人を愛せる。。。そうだろう。。。伯爵。。。貴方もかつて人間だったはず。。。」
「そうなのか。。。」
伯爵は瑠菜を感じ取るかのように胸に手を当てた。
錬太郎は言葉を続けた。。。
「伯爵は瑠菜を愛しいと感じていた。今、自ら消し去ることで。。。そしてが瑠菜を同化することで。。。僕らの”愛”を感じたんだ。。。伯爵。。。僕達と同じだよ。。。何故今。。。同化したんだ。。。伯爵。。。?」
ゆっくりと伯爵は口を開いた。
「今、錬太郎の手の中に額紫陽花の二枚の花びらがある。その二枚は泉と裕子だ。君が作り出した二人。君はどうする?。。。私と同じ力を持つ錬太郎。二人を共に愛するのか?それとも錬太郎。。。君自身が代償を払い現実世界から消え去るか。。。」
「ちょっと待ってくれ。。。俺が泉や裕子。。。他のみんなといた世界は現実世界なのか?俺が創りだした物語の世界じゃないのか?その前に生活していた世界は何なんだ?それに。。。瑠菜と同化した理由をまだ聞いていないぞ!」
「君が選べばいいん。。。どちらの世界を現実にしてもかまわない。。。」
「えっ!そんなこと出来るか!てみんな大切なんだ。。。」
「君はどちらが現実の世界なのか。。。迷うだろう。。。そのどちらかしか選べないのだ。。。しかし。。。君の父から。。。言われた。。。君を救ってくれと。。。私は約束した。。。」
「僕の父?父の記憶。。。?」
「錬太郎。。。お前の父は。。。泉の父となって生活し始めていた頃から。。。全てを知っていたのだ。。。。。。。。。。私はもう少し現実世界で学ぶべきことがあるようだ。もう。。。これで解るだろう。。。どちらが現実世界なのか。。。」
「待ってくれ。。。俺が虫観るチームの浚われる以前の生活はなんだったんだ。。。」
「それも。。。ある意味。。。創造された世界なんだ。。。そして、どちらも現実世界になり得るということだ。。。」
「また。。。会おう。。。」
伯爵が消え去り。。。次の瞬間、旅館の玄関前に錬太郎が立っていた。錬太郎の右の手のひらには二枚の花びらが。。。優しく包まれていた。
花びらは、頬を撫でる風に吹かれ。。。夕暮れの山間の空へ舞うように飛んでいった。
腕時計に目をやった。錬太郎は愕然とした。。。デジタルの日付は消えた日から既に一年が過ぎようとしていた。
錬太郎の疑問は残されたままだった。。。
どちらの世界にも、忘れえぬ世界が廉太郎の心の中に広がっていた。。。
消し去ることのできない日々が。。。
つづく