1.おやじのアイス | 我ここに在りてここに無し

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青きBOUGAの果て

ひとりごとのように

詩と小説を書き綴ります。

何か心に響くものがあれば

それだけで。




今日もおやじは自販機の前に立っていた。暑いのに鼻歌など不謹慎にも歌いながら。



「おやじの海はよ。。。♪おやじの海はよ。。。♪」



 頭のテッペンからお日様が直接矢のように差していたせいもあるのか。おやじはいつものソーダアイスを食べようと120円を入れようとした。


 アイスの外側に巻かれた紙を取ってからが勝負だ。融けないうちに美味しく食べる。下には一滴もこぼさず食べるぞ。今日は♪


 と、こんなことに気合をいれて自販機の前に立った。



「あっ。。。」



 お金を財布から出そうとした瞬間、110円を入れ残り10円を投入しようとした時、手が滑って10円を落とした。その10円玉は自販機の下へと転がり、




「あぁぁぁぁぁぁ・・・」




 おやじの情けない悲鳴をよそに自販機の奥へと10円玉は転がっていった。ここからがおやじの悲劇が始まった。


 その10円玉を取ろうと自販機の下から奥を覗き込もうとした瞬間、スラックスのお尻の部分が、





「ビリッ・・・」




 あちゃー。立ち上がろうとしたときバラスを前方へ崩し、オデコを自販機にぶつけ、額から少し血が出た。


 誰も周囲に人がいないようで助かったと思い、歩幅を狭くし左手はお尻に。右手は額に手のひらを当て何とも異様な格好で歩き始めた。



 アイスを諦め自宅へと歩いた。次の瞬間。後ろから来た高校生が乗る自転車と接触。おやじの左腕は前方へ・・・お尻から手が離れた・・・



「あっ」



 と自分のお尻を一瞬見て前方へ目を向けると

 
 ・・・おぉぉぉぉ・・・警察官が・・・・。



 不振な動きをしながら小俣で歩くおやじに警察官はすれ違い際、




「どうされました?」




 と聞いてきた。




「えっ?」




 とおやじは平静を装った。頭の中では(怪しいと思われてるのか????)えっ。お尻が裂けているだけなのに。あぁぁぁ正直に説明すべきかあっさり答えず前に進むか、いや、待て。いま答えなければ怪しまれる。



 おやじは、





「オデコが痛くて脚から血が出てます・・・あぁぁぁ・・・はははは???」





 おやじは焦って回答がバラバラ。ますます怪しいように見えた。



 おやじは返答を誤った。警官は、





「額にケガをされていますね。大丈夫ですか?ご自宅は?」





  と聞かれ、





 「このマンションです!大丈夫です」




  と、一階マンションの入り口に差し掛かった。


  と、その時、





「泥棒だ・・・!!!」





 という声がマンションの三階から聞こえた。


 すると警官はおやじを見た。


 えっ、ひょっとして俺が泥棒に疑われてるの?嘘だろう?


 このアイスを食べに行ったことがおやじ人生最大の失敗であった。


 あ・・・・おやじ。アイスはいつ食べることができるのか。



 つづく