59.「桜」 | 我ここに在りてここに無し

我ここに在りてここに無し

青きBOUGAの果て

ひとりごとのように

詩と小説を書き綴ります。

何か心に響くものがあれば

それだけで。




 二人の夜道。。。再会した日と同じ道を二人は歩いていた。

「錬太郎。。。本当に。。。消えるの?。。。ねぇ。。。」

「日が昇る前に。。。消える。。。」

「洒落でしょ。。。嘘って言ってよ。。。“嘘だよー”って。。。あっかんべーしてよ。。。」

「。。。フォリナーにいるみんなは洒落気たっぷりさぁ。。。だけど。。。いつも。。。本気さぁ。。。大真面目。。。俺も。。。ね。。。そして。。。今夜のことも。。。」

「ふーん。。。そっかぁ。。。わかった。。。じゃ。。。恭子も。。。一緒に行く。。。いいでしょ♪。。。いいでしょ♪。。。いいって言って。。。錬太郎。。。」

 と恭子が錬太郎に背中を向けた。。。

「それじゃ。。。君が消えちゃうよ。。。」

 と言い背中から恭子を抱きしめた。。。

「いいもん。。。一緒ならいいもん。。。消えてもいいもん。。。バカっ。。。」
 

 二人は公園のベンチ前で立ち尽くしていた。。。

「あっ。。。錬太郎。。。見て。。。ほらほら。。。桜が咲き始めてる。。。見て。。。」

 気丈にも明るくはしゃぐ恭子に錬太郎が言った。。。

「桜の花びらって。。。他と違うんだよ。。。唯一。。。人に顔を向けて咲いてくれる。。。僕らを見てる。。。恭ちゃん。。。俺を見てて。。。」

「花が散るのは見たくないよ。。。」


 と恭子は振り向き錬太郎を見つめ泣き崩れた。。。

 錬太郎は恭子を力強く抱きしめた。。。

 朝もやの中。。。桜の花びらが二人を見つめていた。。。


「大丈夫。。。また。。。会えるさ。。。きっと。。。」

 と言いながら恭子の髪を優しく撫でた。。。

「もう日が昇る。。。じゃ。。。」

 と小声で言った。。。

「またな。。。恭ちゃん。。。大好きだから。。。そばにいるから。。。いつも。。。守ってあげるから。。。しっかり。。。」

 朝日が昇り始めていた。。。重ねた顔。。。錬太郎の顔がうっすら透き通り消えかかる。。。

 恭子は。。。その頬を両手で包みながら。。。零れる涙を精一杯堪えて言った。。。

「ありがとう。。。錬太郎にいちゃん。。。」。。。。

 恭子は朝日に向かい。。。涙を拭こうともせず。。。立ち尽くしていた。。。

 
 静けさが。。。二人の心の時を止めていた。。。


 また。。。会えると信じて。。。。


 暖かな春の日差しが。。。小鳥の声に光りを当て始めていた。。。。



                 第一章

                  完 


         つたない文を読んでくださったみなさんに感謝して。。。

         第一章を終えます。。。ありがとうございました。


         第に章は来週からスタートさせます。。。


                                   マーク^^