錬太郎は。。。“見えない世界”での出来事を。。。全て話した。。。
恭子はただ静に聞いていた。フォリナーは。。。完全に心の世界に呑み込まれていた。。。
ここにいる誰もが二人の未来を確実に理解していた。。。色あせたカウンターの上に置かれた子安貝。。。ただ。。。そこだけにダウンライトの光りが。。。
そして彼女が言った。。。目を潤ませながら。。。
「勝手よ。。。錬太郎。。。そんなの一人で決めるなんて。。。私は。。。どうすればいいの。。。もう父の記憶なんか消せない。。。錬太郎は勝手だよ。。。」
「でも。。。もう遅いんだよね。。。錬太郎」
と言いながら錬太郎を。。。顔傾け覗き込んだ。。。
「やっと再会できたばかりなのに。。。」
潤んだ目から涙が零れ落ち。。。子安貝に。。。
錬太郎は。。。
「ごめん。。。」
と。。。一言だけ。。。
マスターとタマさんは。。。二人の様子を静に見守っていた。。。
「恭ちゃん。。。俺。。。なんにも迷わなかったんだ。。。恭ちゃんと再会した時から。。。決めていた。。。何があっても。。。守るって。。。」
「俺。。。今まで生きてて。。。いったい何やってきたんだろうって。だから、誰か。。。大切だと思える。。。たった一人。。。その人の役に立つならそれで十分なんだ。。。どこにでもいる中年サラリーマンだけど。。。世界中。。。ただ一人存在する。。。錬太郎として。。。役に立ちたかった。。。守りたかった。。。せっかくここまで生きてきたんだから。。。」
「また。。。会えるの?。。。」
と恭子が錬太郎の袖を掴み言った。
するとタマさんが。。。
「大丈夫だと思うわ。。。だって。。。錬ちゃんはgate-keeperになったんだから。。。ただ。。。現実の世界に戻る場所と時間は制限されるけど。。。ね。。。錬ちゃん。。。」
と言った。。。
「えっ?そうなの。。。また。。。会えるの?錬太郎に?。。。」
と恭子は懇願するような目でタマさんを見た。
「確かに私はいい加減な人生を送ってきたけど。。。嘘は言ったことがないのよ♪ほらっ。。。生身の体は明日の朝までしかないのよ。。。錬ちゃん。。。彼女。。。送ってあげなさいよ♪。。。」
とタマさんが言うと。。。
「はい。。。」
と錬太郎は恭子と共にフォリナーを出た。マスターは半開きのドアを開きなおし。。。
「また。。。来るの待ってるよ。。。錬ちゃん!月光族三銃士!忘れんなよ!メンバーが足りなくなると困るんだ。。。頼むぞ!」
と言った。。。
錬太郎は振り返り。。。
「了解!待ってて。。。旅行。。。一緒に行けなくごめん。。。みんなに謝っておいて。。。」
と言い。。。二人は再会した夜の帰り道に。。。靄が立ち込める街。。。二人の靴音だけがゆったりと響いていた。。。
今。。。この街は二人だけの世界になっていた。。。
朝は近い。。。
つづく