1年半ほど前から「2つめの合唱団」に参加しています。その本拠地はフランクフルト市内北の端近く、Heddernheimという地区にあるトーマス教会。そこのオルガンは1950年代に製作設置されたオルガンでして、大規模メンテが必要な時期にきているのですが、この機会にストップを追加して演奏台と制御系を最新のものに一新する計画がまとまり、工事が始まりました。
昨日(2月5日)、そのための分解作業の機会を利用しての分解中のオルガンの見物&解説会というのが催されるということだったので、午後半日休暇を取って押し掛けました。オルガンの裏を見る機会なら時々ありますが、「分解中」ってのは珍しいかと。申し遅れましたが、我が家はオルガン音楽を聴くのが好きですが、男ども2名はオルガンのメカにも興味がありまして、更に少年の方はいろいろネット記事など読んでいるようでめっぽう詳しいです。
こちらがそのトーマス教会。
こちらは、先日「オルガンしばしお別れコンサート」の時の写真。
見学の日には、すでに結構バラされていました。作業3日目だとか。

祭壇の前には、取り外した部品の一部が並べられています。おそらく、見学会用に置いておいてくれたのでしょう。
こちら、鍵盤の動きに応じて、個々の音の風道に風を送ったり止めたりする電磁弁。そう、ここのは電気式鍵盤です。
昔からある機械式鍵盤の場合、その動きをバルブに伝える機構が結構複雑で、見ていて感心するのですが、電気式の場合は比較的簡単そうに見えますね。もっとも、中途半端に機械系技術者である私は、自分たちが触っている機械でいっぱい使っている「電磁弁」を想像していたのですが、結構違います。ここにあるのはなんとも手作りっぽいですね。でも考えてみれば、機械制御に使うような電磁弁、動かすたびにがっちゃんがっちゃん言うようなものは、とてもじゃないけどこういう用途には使えません。素早く、軽く、静かに動くように専用に作られたものと想像します。
その隣に置いてあったのは、個々のレジスターをON/OFFする機構の一部。これも電気式なんですね。
レジスターON/OFFの仕掛けそのものは、30~61ある鍵盤全部の穴を塞いだり通したりする部品を動かすので結構な力がかかります。電気式の場合も、これを電磁石で直接動かすのではなくて、空気の力を借りるようです。で、その空気のON/OFをするための小さなバルブを電気仕掛けで動かすと。
それはまあいいのですが、中途半端に機械技術者である私(とその卵である少年)は、これ見てちょっとドキっとしました。
電磁弁を駆動するためのケーブル類が、こんな感じで木の部品に沿って這わされています。
よく乾いた木は確かに絶縁体なんでしょうが、同時にとっても燃えやすいもの。こういう箇所ですから、おそらく電圧は24V とか12Vとかだろうとは思いますが、、、ええんかいな? これ、今時の安全規格や、仮に規格がなくても常識的に、やっちゃいけない配線ではないでしょうか?
いや、よくこれまで無事でいて、よかったねと思いました。けど考えてみたら、この頃作られた電気式制御のオルガン、ドイツ中には何百台何千台とありそうで、みんなこういう感じなのかなぁ。大丈夫なんだろうか、、、と心配になるのでした。
っとまあ、内部部品の説明が先になりましたが、普通はオルガンと言うとパイプに一番興味がありますよね。
取り外したパイプは、この通り、2階の一画に並べて、長いやつは壁に立てかけてあります。地震なんて絶対に来ないと信じているんですね。
正面に並ぶ、よく目立つ立派なパイプ群がそのオルガンの「顔」みたいなものでしょうか。ここの「顔」はわりと珍しく、銅色です。解説によると、初代のオルガンが20世紀の初頭に作られたころ、この近くには銅の精錬工場があって、その地域のカラーをだすという意味もあって、「顔」は銅のパイプにしたとか言ってたように思います。(いつまでたってもドイツ語怪しい私) その先代のオルガンの銅パイプは、第2次大戦のときに供出させられて、いまのパイプは1950年代に新しく作られたものだとも。
普段はこの「顔」の後ろにいて外から見えないパイプ群も、ここではよく見えます。近くには行けない(危ないので立ち入り禁止)ので、こちら側から見えるのはごく一部ではありますが。
どの形のパイプが、どういう原理でどんな音がして、、、というのは専門の方々が書かれたものが豊富にあると思うので、素人の私がいい加減なことを書くのは止めておきます。
説明の中で、「あ、なるほど、そうでしたか!」と思ったのを一つ紹介。
壁に立てかけた立派なパイプのなかでも、一番長いのが少し離れて裏返しに立てかけてあります。
これ、ペダルの一番下のCの音の8フィートPrinzipalのパイプ。ってことは、歌口(音が出る元となる開口)からパイプの先までの長さがほぼ8フィート、約2.4mのはず。「はず」と書いたのは、前から気になっていたのですが、どう見てももっと長いです。でも倍の16フィート(約4.8m)はありません。ストップ表を見ても、金属パイプの16フィートはありません。(木の閉管の16フィートはありますが、これは閉管なので実際の長さは半分の8フィート。)
この日の見学会の説明でその種明かし。「裏返しに立てかけて」あるのもそのためでしょうか。
このパイプの上の方、大きく口が開いていて、さらにその下にも大きな四角の開口があります。実は歌口からこの開口の位置までが約8フィートで、一番下のCの音(約66Hz)になります。じゃあなんでわざわざそんなことをしているかというと、設置した建物に合わせたデザインを考慮すると、8フィートのままではイマイチなので「見た目」のためにざわざわ長くしたらしいとの説明でした。へぇ、そんなこともやるんだ。
この日の見学会では、オルガニストでもあるカントール(教会の音楽責任者)と、元のオルガンの製作者でありかつ今回の修理改造工事を受け持つ会社の責任者の2人がいろいろ丁寧に説明してくれました。もっとも、、、二人は目の前にあるオルガンよりも、今度出来上がる予定の最新メカ搭載のオルガンへの期待が上回るようで、どっちかというとそちらの説明が多かったですね。んで、目の前にある旧式オルガンの仕掛けなんかは、我が家の少年が我々二人に説明してくれました。それにしても、、、なんでこんなこといっぱい知ってるんだろう。
見学説明会は1時間足らずで終わりましたが、なかなか楽しかったです。半日休暇をとった甲斐はありました。










