漢方薬局はつらいよ | 国際中医師アカデミー とうぎ【中医学日記】

漢方薬局での診断は、主に問診と舌診になります。

現状では薬剤師は医療行為としてお客様に触れることができないため、2つの鏡(脈診と舌診)のうちの1つの鏡(舌診)を駆使することになります。

漢方のプロは、患者さんの話と目や肌や舌の症状から病気を見極め、ベストと思われる診立てを伝え、漢方薬を処方します。

ところが先日ある漢方薬局で、診断と漢方薬の紹介までしてもらったあるお客さんが、肝心の漢方薬はインターネットで買った、という話を聞き、非常にショックを受けました。

せっかく患者さんを治してあげられるようにと、一生懸命中医学の基礎理論を身につけ、方剤学を学び、弁証力を鍛え、舌診の技術を磨いているのに、また、より丁寧に診断したいと思う薬剤師さんは、脈診も診られるよう鍼灸師の資格も取るような努力をされているというのに、これでは報われません……。

思わず、「きちんと中医学の理論と技術を持つ人は相談料を頂いてもいいのではないか」と感じるほどでした。

ネットに処方通りの漢方薬があるかどうかわかりませんが、運よく手に入ったとして、例のお客さんがその効き目に驚いて、診断してくれた漢方薬局のファンになってくれるのを願うばかりです。